【歌い手】たんぺんしゅう

ラマン ページ5

「センラさーん、約束ですよー…」






いくら揺さぶってみても起きないセンラさん。
7時になった途端にここに駆けつければ机に突っ伏したまま動かない上司の姿。

寝顔、ちょっと幼くて可愛い。写真撮っちゃお






「キーパッドの跡、ついちゃいますよー…」





「…んぅ……A…？…ってはっ！」






とろんとした瞳で見つめられるんだからたまったもんじゃない。
襲っちゃいそうで怖いですセンラさん。
写真撮り終わったあとでよかった、バレたら私の命が危ない




「やっと起きましたか〜」






「え、何時？あかん、もう9時半やんか！アッチャー、行きたかったとこもう閉まってるわ〜…」








腕時計を見ては目を見開き、携帯を見ては顔を歪める。
その一つ一つの動作がどうしようもなく可愛くて。
胸がぎゅうって締め付けられるように痛んだ。








「なんなら、私の家来ます？料理、作れるっちゃ作れますけど…」







さすがに男の上司が女の部下の家に上がり込む事はないだろうと思いつつも
来てくれたら嬉しいなって楽観的な思考で聞いてみる。







「いや、それはさすがに…でも行きたかったお店閉まってるしなぁ」






いい？ってしゅんとした子犬みたいに目線を上げるセンラさん。
センラさんは座ってて私は立っているから必然的に上目遣いになる。
あぁ、もう可愛い。この顔を独り占めできることに優越感。








「全然おっけーです」







「すまんなぁ、ほんま情けない…」






「そんな落ち込むことですか」






「そりゃあそうですよ！上司の僕が失敗して可愛い可愛い部下に尻拭いされるなんて…」








「ふふ、大袈裟じゃないですかー？」






そうやって笑いながら二人で歩くこの瞬間がとてつもなく幸せで、大切で。
あぁ、やっぱり好きだ。

せんちゃん→←雨止みませんね*センラ

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