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幸せになんてなれない ページ28

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私は結局、幸せにはなれない人間のようだ。



” それ ”に気づいてしまった頃には、何もかもあまりにも遅すぎた。









何かが私の眠気を持って行き、ふと目が覚めた。


枕元に置いていた携帯を見ると、午前1時過ぎ。




もう一度眠ろうとお腹まで下がっていた布団を引っ張り目を閉じようとすれば、




__カタカタカタ、カタカタ




と、耳につく音がする。




ああ…私の目覚めの原因はこれか。


目が冴えてしまえば再び眠る事は出来なくて、むくり、と起き上がりベッドから体を出して部屋のドアを開けた。



リビングの明かりに目を細めながらゆっくり中へ入ると、そこにはローテーブルにノートパソコンを広げて、キーボードを打つ千尋の姿があった。



「起きてたのか」

「……まあね。」



耳にさしていたイヤホンを抜き取り、チラリと此方に顔を向けてくる。

初めて見る黒縁の眼鏡をかけている姿に、不覚にもドキッと胸が鳴った。



「…何してんの?課題?」

「卒論。今週末提出だから」

「あ……そっか」



…千尋って4年生だったっけ。




あ、あれ?

今までそんな事考えた事もなかったし、気にしてなかったけど…私、敬語で話してないよね?



それに千尋、千尋って……



「……千尋、先輩?」

「…今更か。別にいい」

「だよね、てかそうじゃないと困る」



良かった〜断られて。

なんて一人ホッとしていると、千尋は掛けていた眼鏡を外し机に置いた。
そして徐に腰を上げ、向かう先はキッチン。



「…何か飲む?」

「あ、いいよ別に」

「いい、少し休憩取ろうとしてたし」



キッチンへ消えて行き、湯を沸かしながら「何飲む?」ともう一度問われた。



「苦くないやつ」

「ミルクティーとか?」

「いいね。ミルク多めにして」

「…はいはい」



数分後にローテーブルに置かれたコップから漂う優しい香り。
向かいからは大人な香りがするから、きっと千尋はコーヒーを入れたんだろう。



甘くて美味しいミルクティーを飲みながら思う。


千尋にとってこの忙しい時期に私がここに居ていいのだろうか、と。






「…あ、あのさ。私、邪魔?」





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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時

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