《 2 》 ページ17
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人の動く気配がしたかと思えば黒い影に覆われた。
目の前に腰を下ろした千尋は、そのまま私の顔を伺うように覗き込んでくる。
「……なによ。」
「んだよ、泣いてるんだと思った。」
「…泣くわけないでしょ。」
その何でも見透かしてる様なその目が嫌い。
私が今、何を思っているのかも千尋には丸わかりな気がしてならない。
私は逃げるようにそっぽを向いた。
「ていうか…本当に大切なら浮気なんてしない」
「……確かにそうだが、赤司も赤司なりに考えたんだろうな。
やっぱりお前だ。って、そう思ったんだろ」
「…何を今更っ」
「お前も素直じゃないな…誰のためにあんだけ泣いて乱れまくったんだよ。」
「…だっ…誰だって大切な人に約束すっぽかされたら悲しいに決まってるじゃんか！
自分の誕生日に、しかもその理由が女って…！」
「…俺に言っても意味ねぇよ。」
目頭が熱い。
…ああ、駄目だ。
引っ込んだはずの涙が簡単に零れてきそうだ。
「お前も色々思う節はあるはずだし、言いたい事もあるだろうが…その時の為にためとけよ」
「……」
「俺じゃなくて、ちゃんと本人に伝えろ。」
私…ちゃんと、伝えれるのかな。
今まで何一つと征十郎に届いた自信がないのに。
「だから今は、何も考えずに赤司が迎えに来るのを待っていればいいだろ。」
「……」
「ここで。」
瞬間、ぶわっと涙が溢れてきた。
手の甲で拭えど拭えど止まる事を知らない。
だ、から…何で…
なんでアンタがそんな事言うのっ…
「何で泣くんだよ。
普通ここは嬉しくて喜ぶところだろ」
「…うっ、んん…」
「赤司が帰ってくるんだぞ？」
「……っば…」
馬鹿…そうじゃなくて……
私が泣いてんのは…ここに居てもいいよ。って言われた気がして
ああ…、私にも居場所あったんだって…
それが堪らなく嬉しかったからで。
「…お前まじで、泣くの下手すぎ」
「…っうう…」
「……やっぱ辛いんじゃん」
ただ泣くだけの私に、頭を撫でるその手はどこか不慣れでどこか優しい。
なんか私、随分と千尋に甘やかされてる気がする。
「…気分転換になら、いつでも付き合ってやるからさ」
「……っ」
「一人で抱え込むのだけは、もうやめろよ。」
ああ、だからか。
だから今日、海に連れて行ってくれたんだね。
千尋の優しさにまた胸が熱くなるのを感じながら、私は意識を手放した。
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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (
レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます！夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます！！長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして！読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります！あがとうございます！！ (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羅夢 | 作成日時：2017年11月5日 14時
