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「…俺の家でいいなら、泊めてやるよ。」
「…え?いいの?」
「いいも何も、流石にこんな状況のお前を置いて帰れないし、」
そう言った千尋は、「それと、」と切り出して言葉を続ける。
「赤 司と距離置きたいっていうなら、その間だけ俺の家使わせてやってもいいが…」
その言葉は、今の私には優しすぎて馬鹿になった涙腺は簡単に緩み始める。
「…っ、」
「は?なんで泣くんだよ。」
なんでって、そんなの……
そんなの、千尋が優しくするからじゃん。
「お前に協力するって言ったやつ、」
「……」
「あれ、まだ有効だから。」
泣いている私をじっと見つめていた千尋は、ふっと目を伏せた。
人気のない路地にポツンとひとつだけある街灯が、千尋のグレーアッシュの髪を照らして、それがキラキラと輝いているように見えた。
長い睫毛が白い肌に影を落とす。
「赤 司は、ちゃんとお前の事が好きだよ。」
「……え?」
「アイツってさ、去る者は追わないし本当に好きな女にしか執着しないんだよ。」
「……」
「あれだけ狂ったようにキスマークつけてるのなんて、初めて見たしな。」
「……っ、」
そう言った千尋に、あの時のことを思い出して顔にカァッと熱が集まる。
「だから」と言い、ふと視線を上げた千尋。
グレーのアーモンドアイが、私のそれと交差する。
「お前が、赤 司からあの女を引き離せばいいんだよ。」
その言葉に、ゴクッと生唾を飲み込む。
「俺の言う通りにしてれば、きっと上手くいくと思うぞ?」
そう言った千尋の瞳は真剣そのもので、目を逸らせなかった。
「赤 司の事、手離したくないんだろ?」
どうしてだろう、上手く頷けない。
あぁ。
どうして、なんて愚問だ。
私、怖いんだ。
すごくすごく、怖いんだ…。
何も言わない私に、千尋は痺れを切らしたように立ち上がった。
「で、どうするんだ?」
「……」
「俺に付いて来るの?それとも来ねぇの?」
「……」
「お前が、選べよ。」
千尋は無表情のまま、私を見下ろしながらそう言った。
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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時