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特に話すこともなく、二人一緒にただ海を眺めていた。
千尋のいうドラマの様なワンシーンなら、今頃私は征十郎のことを考て物思いに耽っているのだろう。
だけど、私はそうじゃないらしい。
今の私は何を考える事もなく、無に近いそれと同じだ。
ただ思うのは、海って綺麗だなーとか寒いなーとか、千尋がいるなーくらいで。
きっと心の何処かで、征十郎は最終的に私ではなく” 彼女 ”を選ぶんだと分かりきっていたんだと思う。
ただ私が、誕生日を祝うという征十郎の言葉が嬉しくて、珍しく浮かれてただけだ。
だから断られた時、辛かったし悲しかった。
別れようと言ってしまったんだから、今更穴を掘り起こそうとは思わないけれど。
…でも、
「…『おめでとう』くらいは、欲しかったな。」
「……」
『ごめん』でもなくて、『今度埋め合わせする』でもなくて…
私が産まれてきた事を…ただ一言だけでもいいから祝って欲しかった。
…あ、私、物思いに耽ってるじゃん。
千尋が言った通りだね。
「そういえばさ、初めてだったんだよね」
「何が?」
「異性から『おめでとう』って誕生日祝ってもらうの、アンタが初めてだった。」
「…良かったな。」
あの時千尋は前々から征十郎に聞いていたから知っていて、ふと口に出しただけかもしれないけど…なんだかとっても嬉しかったんだ。
僅かに微笑んでいれば、千尋は眉間に皺を寄せていた。
「……まじで祝ってもらった事なかったのか。」
「だからそう言ったじゃない」
「寂しいやつだな」
「…うっさい、バカ」
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美樹菜(プロフ) - 赤司くんと黛先輩が好きなので、こういう小説見れて嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2019年1月2日 23時) (レス) id: a4e34be67d (このIDを非表示/違反報告)
黒路 - 結局最後まで自分に甘いだけですね夢主ちゃん。現実にいたら恋愛でも結婚でも長続きしませんね。 (2018年9月18日 7時) (レス) id: fa1a11a816 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - かふぇらぺさん» ありがとうございます!夏休み終わってしまいました...全然更新出来ず申し訳ないです...。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - ぴこさん» いつも感想ありがとうございます!!長い間更新出来ずにすみませんでした。 (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - 黒路さん» 黒路さん、初めまして!読んでもらえて嬉しいです。そうはっきり言ってもらえるのとってもタメになります!あがとうございます!! (2018年8月22日 18時) (レス) id: 56b708a054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作成日時:2017年11月5日 14時