Episode. 2 ページ3
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「えっ…」
意に反して、突拍子もない声が出てしまった。
…いや、それは嘘で。
図星だったからだ。
『あの時』
その言葉に、ある一人の人影が頭に浮かんだ。
_昔、私には大好きな人がいた。
その人は、同い年とは思えない程大人っぽくて、
誰からも信頼があって、温厚で懐が深く寛容で…
そしてとっても優しい人。
_でもそれは
もう数年前の事だから、
霧みたいにモヤがかかった様にボヤけてて、
はっきりとは思い出せないけれど
『A。』
私の心を揺らすあの声が、今でも脳裏に響いている。
…でも、もう。全て終わった事。
あれはもう昔の話だ。
今じゃ、ただの他人。
もしかしたら、夢だったのかもしれない。
〈…A…ね、A…っA!!〉
「…っああ、ごめん」
〈話聞いてた?
全然反応しなかったから、電波悪くて切れたかと思ったじゃん!〉
「ごめんごめん。何だっけ?」
ふと、我に返り窓の外を見れば
さっき見た時よりも暗くなっていた。
事務室に居た園長も姿が無く、いつの間にか帰っていたようだ。
〈だから、あの時の事!!
もう気にしてないの?大丈夫なの?〉
「…気にしてる訳ないでしょ。
とっくに吹っ切れたっての」
そう口に出したは良いけど、
胸の何処かがチクンと傷んだ気がした。
〈…どうだか〉
「ん?なんて??」
〈ううん!気にしないで!
んじゃあとりあえず、8時に○○ビル近くの×××ね!!〉
「え、待って待って。
私、行くなんて一言も言ってな…」
〈A、遅れちゃダメだよ!
あ、他のメンバーには私から伝えておくねー!〉
〈はああ?!ちょ、何でそう…〉
ツーツーツー…
…まじかよ。
え、ちょ、これはまずい。
どうしよ、私合コンなんて1度も…
「Aさん」
「うわあああ??!」
一人で途方に暮れていると、
後ろから声がかかった。
「…って、テツヤ君。
もう、ビックリさせないでよ」
「すみません。
驚かせようとしたわけじゃないんです」
「分かってる、いつもの事だもん。
そのミスなんちゃらどうにかしてよ!
私、寿命縮まるじゃんかもう!!」
「すみません」
中学からの知り合いの彼とは
高校•大学は別々になったものの、就職先が同じで再開した。
中学からだから、私と彼の『あの事』は当然のように知っている訳で。
だけど、彼との事に対して
全くと言っていい程つけ込んでは来なかった。
そういう面を含めて、テツヤ君は優しい人なんだと思う。
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羅夢(プロフ) - スカビオサさん» あ、ほんとですね!!!ご指摘ありがとうございます助かります! (2017年5月30日 7時) (レス) id: da06b6f43d (このIDを非表示/違反報告)
スカビオサ(プロフ) - 天ノ弱は曲名なので、天の邪鬼だと思います。意図的でしたらすみません。 (2017年5月30日 2時) (レス) id: b80a207be1 (このIDを非表示/違反報告)
あんぽんたんこ(プロフ) - 羅夢さん» お話さっき書きました笑 駄作なんですけど…笑 ありがとうございます´`* (2015年8月3日 20時) (レス) id: 715647ff88 (このIDを非表示/違反報告)
羅夢(プロフ) - あんぽんたんこさん» 赤司君とのお話書いてるんですね♪嬉しい、仲間が出来た感じがします。(*^^*)ぜひ、お友達になりましょう!!! (2015年8月3日 20時) (レス) id: 6d912d8097 (このIDを非表示/違反報告)
あんぽんたんこ(プロフ) - 羅夢さん» はい!´`*自分始めたばっかりで不安がいっぱいで、お友達希望してもいいですか?図々しくすいません。 (2015年8月3日 20時) (レス) id: 715647ff88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅夢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/soraland2
作成日時:2015年8月3日 14時