第二十三話 ページ25
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ーーー白鳥沢 学生寮
はぁ〜、今日のAちゃんの発言ったら…
若利くんも若利くんで分かりやすく拗ねちゃって。
それに気づかないAちゃんもAちゃんだけどサ。
2人とも昔から距離近すぎて、色々とバグっちゃってんだろうね〜…
あ、着いた着いた〜!
「ヘーイ!今週のジャンプ返してー!」
「今まだ『ムダ毛スッキリスベスベ美肌』のところを読んでいる。」
「広告より先にマンガ読んでヨ!!」
やっぱり若利くんってちょっとズレてるよネ。
広告なんて律儀に全文読む人なんている??
「ところで明日1年の強化合宿行くよね?若利くん」
「…ああ。」
って、全然最初のページじゃーん。
「工がもし威張ってたりなんかしたら、ちゃんと若利くんが言ってあげないとネ!」
「ああ。」
「他にどんな奴らがいるんだろうねー?」
「ああ。」
「…烏野とかからも来てるのかなー」
「ああ。」
……若利くん、全然人の話聞いてなーい。
まあ、ジャンプの方読み進めてくれてるからいいんだけどサ。
でもちょっと退屈だなー。
賢二郎んとこ…はつまんなそう。
工はきっと疲れてるからダメだよねー。
……
爆弾、投下してみちゃおっかな?
「ねえねえ、若利くん」
「なんだ?」
「Aちゃんに告白しないの?」
あ、手止まった。
思考も止まっちゃった?
何も言わない若利くん。
「恋愛がどのようなものか、俺は知らない。」
やっと口を開いた若利くん。
「若利くん的にAちゃんのこと、どう思ってるの?」
「Aは、大切な存在だ。まるで家族のように。」
「そっかー」
若利くんはジャンプを見つめていた視線を上げて、そう言った。
でもね、若利くん
Aちゃん見かけたら絶対話しかけにいくとことか、
試合前にAちゃんと会う会わないでサーブの入り具合が違うとか、
さっき、Aちゃんが烏野のセッターくんのこと褒めたり知り合いだったりして拗ねちゃうとことか、
俺の話には適当に相槌を打つくせに、Aちゃんの話題になると手を止めちゃうとかとか、
Aちゃんのこと、本当に大切に思ってるとことか、
俺的に、もう好きじゃんって感じなんだよネ。
それが恋愛なんじゃない??
若利くん。
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作者名:にゃん吉 | 作成日時:2020年1月21日 23時