第十三話 ページ15
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『A、今週の日曜日空いてる??』
『空いてるけど……』
高校2年の夏
相変わらずの部屋
バレーを遠ざけるような感覚は徐々に薄まっていたけど、
でもやっぱり大会とか試合とかは見る気になれない。
としくんともクラスが離れてしまったし、私にバレーを思い出させる存在は周りにいなかった。
部活に入らなかった私は勉強に没頭するしかなくて、
成績だけがどんどん良くなるだけの高校生活
『一緒に行かない?東京!』
『東京??』
『どーせあんたひまでしょ!』
いや、ひまだけど…
突然お母さんに提案された東京
なんでいま?って感じだけど、まあいいか
『いいよ』
『《次はー代々木ー代々木、お出口右側です。》』
朝から新幹線に乗って、たどりついた東京
するといったら、やっぱり観光だよね?
へー…あ、次の駅原宿…聞いたことある、有名なとこだ。
お母さんについていってるだけの私は向かってる目的地がどこかも知らず、ただただ初めての東京の全部に驚いていた。
『A!ここで降りるよ!!』
突然腕をつかまれ、ボケーっと上の表示板を見ていた私はお母さんに電車から引きずり下ろされた。
『ひと多い…』
降り立ったのは、さっき思い出していた
原宿
さすが都会だ。
日曜日だからなのかいつもそうなのか、すごい人で溢れかえっていた。
『A、はぐれないでね!』
そう言って私の手を引くお母さん
改札を出てからお母さんは人の流れからはみ出て大通りとは反対の方向に向かっていった。
『お母さん、どこいくの?』
『行けば分かる!』
確かにこっちの方にも人がいるけど…
その人たちの流れに沿って歩くお母さん
それから数分歩くと、その人の流れが吸収されていく建物があった。
たくさんの国旗
大きな看板
そこに書かれてる言葉
《第11回 世界ユース男子選手権大会》
その言葉の意味を理解した時、私は固まった。
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作者名:にゃん吉 | 作成日時:2020年1月21日 23時