第十二話 ページ14
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全てをかけて築き上げた青春が終わっても
日常は止まることなくやってくる。
あれから退院して、
涙を流すチームメイトに囲まれながら引退して、
中学を卒業した。
そしてそのまま、としくんと一緒に白鳥沢高等部に入学した。
バレーボールのために毎日していたランニングの習慣は、
薬を飲む習慣に変わって、
としくんに男子バレー部のマネージャーを提案されたけど
バレーボールの近くにいるのはまだできなくて、断った。
一緒に進級して女子バレー部に入部した元チームメイトたちは、事情を知ってか遠慮して声をかけてこなくなったから疎遠になった。
そのかわり、新しいともだちができて、
バレーボールが中心だった生活がガラリと変わった。
でも唯一変わらないのは、あれからそのままの私の部屋
ジュニアの時のメダル
中学の時の表彰状
たくさん飾ってあるチームメイトとの写真
そして、
としくんに出会った時から使ってるモルテンのボール
まるでバレーやらないの?と聞いてくるかのような部屋
帰ってくる度、心の穴が深くなるような気がした。
何度も捨てようとした。
できないなら、全部の思い出まるごと
捨てちゃえられれば
こんな苦しくないのに。
「でもやっぱり……バレーボールが好きなんだなぁ…」
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作者名:にゃん吉 | 作成日時:2020年1月21日 23時