幸せを願い、傷付けるのならば ページ30
「……何、また傷増やしてんでィ」
荒い呼吸を繰り返し、顔を顰める奴に向かって放った言葉。その頬に一つキスを落とす。
惚れちまったからなのか、こんなに苦しいのは。
「命なんざ、無くなったらそこで
タクシーに乗り二十分くらい。
近くの大学病院の、一部だけ明かりの灯った場所。
夜間救急で、すぐに診察を受けられた。
命に別状はないが傷はかなり深いらしく、すぐに五針縫った。
広い病室の中、目の前で眠るその姿は、いつかと重なって。これだったんだ。
目の前からいなくなる気ってのは。
傷付けるのは分かってる。……もう後悔はしたくねェんだ。
握った手は冷たい、しばらくすると体温が移ったのか少し暖かくなって。内心、すごくホッとしている。
「………好きでィ」
嫌われてもいい。だから、生きて欲しい。
「………沖田…隊長？」
目を覚ますと何故かうつ伏せで寝ていて、驚いたような表情をする隊長が居て、私もびっくりした。
慌てて起き上がろうとすると背中に痛みが走る。
それで全て思い出したんだ。
「７番隊のみんなは？無事ですかっ？！」
「他人の心配より、自分の心配したらどうでィ」
「………私は何ともないです。だから…」
「だから？だから何だって言うんだよ」
怒ってる。私が迷惑かけたから？
分からないけど。
「…だから、大丈夫です」
そう笑ってみせた。
だけど、さらに眉間を寄せて。私を……
「………ざけんな。あの時ッ、もし死んでたら。それでもお前は、大丈夫って笑うのかよ」
…強く抱き締めた。
苦しいくらいに強く。………優しく。
「…死んでからじゃ遅いんだよ」
好きだからこそ。私は今、最高潮に苛ついている。
「…何でですか」
「あ？」
「何でいつも、いつも自分を蔑ろにしてまで他人を守るんですか？私はそんな隊長は嫌いです。
隊長だって、死んでからじゃ遅いじゃないですか」
精一杯に隊長を睨み付ける。
ずっと、ずっと見てきた。きっと誰よりも近くで。
もっと自分を大切にしてほしい。
だって、私には彼を止められないから。だって、君はいつだって真っ直ぐに走って行ってしまうから。
だからせめて。言わせて。
「………好…」
言い掛けた所で、言えなかった。
く、く、く、ぐ、口を塞がれたから…
その………く、く、く、唇で…
「ほんっと、思い通りにいかねェや。
あ、でもこの反応はやっぱ思い通りだったわ」
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千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» 返信が遅くなり、すみません！！ご期待に添える自信はあまりないですが、書くのがすごく楽しいので頑張ります！！ (2020年2月16日 23時) (
レス) id: 88ef43b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごく好きです!(この作品も千さんも)(突然の告白) (2020年1月25日 23時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» すごく驚きました。すごく嬉しいです！ (2020年1月25日 12時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» と思ったら1位だよ!!!!おめでとう!!!! (2020年1月19日 1時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごっっっ!!もう去年Aなってるんだよなぁ我。あ、関連作品ランキング2位おめでとう!!!!!! (2020年1月19日 0時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千の歌を歌う人 | 作成日時：2020年1月1日 1時
