【ぬらりひょんの孫】転生・・また転生（女主）

３３話 ページ35

盃を交わしてすぐに四国の妖怪達が道楽街道を進み奴良組へと向かっているのが分かり、リクオの指示で屋敷中の妖怪達が集まり戦闘準備をしている。
先頭に立っているのは夜のリクオだ。
彼の周りには側近が並び準備を終えているが氷麗はある人物を探してキョロキョロと辺りを見渡していた。
落ち着きのない彼女にリクオはどうしたのかと問うと…

「いえ…Aの姿が見えないので探しているのですが…」
「確かにいねぇな。」
「あいつはこれが初陣なんだろ？緊張して腹下してんじゃねーか？」

そう言ったのは青田坊だ。
冗談のつもりだったのだろうが女性陣からは冷たい視線を送られてしまう。
その頃のAは良太猫を含む化猫屋のメンバーと会っていた。
連絡を受けた良太猫は数人の仲間を引き連れ急いで戻って来たのだ。

「まったく。俺のいない間に若と盃を交わしてすぐに初陣とは…約束は忘れんじゃねぇぞ。」
『もちろんです。化猫組の代表として戦い、必ず帰ってきますよ！』

互いにお守りを握り、その拳を軽くぶつけ合った。
その様子を見守っていた先輩猫達は黒の手ぬぐいをAに手渡し声をかけていく。

「本当は１３歳の誕生日に渡すつもりだったんだけどね。」
「ちと早ぇが俺らからのプレゼントだ！」
「化猫組では成人したら専用の手ぬぐいを渡すのが伝統だが…天下の奴良組の出入りに参加するなんてめでたい日に渡さなくてどうするよ！…って事になってな。」
「これで貴女も立派な化猫組の一員よ。」
『おお！』

Aの白い頭が目立つようにと黒の手ぬぐいが選ばれ、化猫組使用なので模様は白の肉球が散らばっている。
それを良太猫と同じように頭に巻いていくA。

『先輩方、ありがとうございます！正式な組の一員となったからには化猫組の名に恥じぬよう精進し必ずや活躍してみせます！』

仲間達からの声援を背にAは歩き進んで行く。

(犬神さんの事は良太猫さんに頼んだから大丈夫……問題なのは玉章ですね。仲間を簡単に斬り殺したなんて…この後の戦いでも味方殺しをする可能性は高い。)
「A！」
『！』

名を呼ばれ声のする方を見ると氷麗が小走りでやって来ている。
リクオ達からの視線も向けられAはどうしたのかと聞くと…

「お腹は大丈夫！？」
(…オナカ？)

青田坊の冗談もトイレのある方向から戻って来たAを見た彼女は信じてしまったのだ。
心配してくれているのは分かるのでAは冷静に答える。

『……快調です。』

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