２３８話 ページ5
大山さんが城を出てから随分と経つがまだ連絡はない。
私は椅子に座り凪は窓から外を眺めている。
「……逃げることはできないのかな。」
『難しいですね。偽ジュリーが常に目を光らせてますし…ご丁寧にもこの周辺に幻術をかけてるようですから。』
「…そっか。」
それに凪の武器も奴に取られており安易に逃げ出し失敗したらシャレにならない。
何より私達は何も知らない。
古里君達の事も初代達の考えも裏切りの真偽も……偽ジュリーの正体や企みも知らないのだ。
(明日にでも古里君に話を聞いてみますか。あと凪が一人の時はどうしたら…偽ジュリーが接触してくるはずですから……)
「………。」
一人で考えていると凪がそばまで来て私の頬をつねり言った。
目は真剣そのものだ。
「…私の事なら大丈夫だからAはやりたいことをして。私だって…骸さんや美夜さんのおかげで強くなったんだよ……足手まといにはなりたくない。」
『……明日…古里君や他の人達から話を聞いてきます。凪は人質なのでここに残る事になりますが…』
「わかった。…無理はしないでね。」
苦笑する彼女に私は黙って頷き、そして…また初代達の記憶が流れてきた。
知り合いをくだらぬ理由で殺された彼らは町を無法者達から守るために自警団をつくることを決めた。
それを案に出しリーダーとしてジョットさんを推したのがコザァートさんだ。
『……この先も彼らの記憶が送られてくるようですね。』
「うん。もしかしたらシモンの人達が言ってた事件のこともわかるかも…」
『そうですね…わざわざこんな戦いをさせ見せるからにはハッピーエンドである事を願いますが……それよりも誰が負けたんでしょうか。』
それはすぐに分かった｡
大山さんがやられたのだ。
知らせてくれた鈴木さんの顔は険しく焦っているようにみえた。
翌朝、私は部屋を出て広間へと向かい古里君を探したが彼の姿はない。
唯一部屋にいた薫君に聞くと偽ジュリーと共に部屋を移動したそうだ。
『ありがとうございます。他の部屋を探してみますね。』
「………すまねぇ。」ﾎﾞｿｯ
『……？』
彼から離れた時に何か言っていた気がしたが振り向いた時には薫君は背を向け移動していたので聞くことはできなかった。
そして…【円】を使い古里君を探しある部屋へと入ると彼からは怒りと憎しみが感じられ偽ジュリーの姿はない。
『…次はしとぴっちゃんですね。』
「………。」
紙を握りしめ椅子に座る彼は怒りを抑えているようだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吹雪 - SORAさん» SORAさん！ありがとうございます！ (2016年3月23日 18時) (
レス) id: aa00951892 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 吹雪さん» なるほど、分かりました(^▽^)！知らせてくれてありがとうございます(^^)知らなかったらプチ混乱してたかも…(・・;) あと前者ということなので虹の代理戦争編の前の話にしますので少々お時間がかかります………急いで考えてきます！！ (2016年3月23日 12時) (レス) id: df83dcc9c9 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - あと、言って良いのか迷っていたんですが、この度、言わせて頂きます。実は私、多重人格なんですよね。たまに一人称が、僕になったり、俺になったりします。一応、女なんですけどね･･･。 (2016年3月23日 1時) (レス) id: aa00951892 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - 前者でお願いします(即答)← (2016年3月23日 1時) (レス) id: aa00951892 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 吹雪さん» いえいえ大丈夫ですよ(^^)嫉妬OKです！…あと度々すみませんが、やはり主人公にはエド達であると知っている（そのままの姿でトリップ）と知らずに交流（姿を変えトリップ）のどちらが良いですか？話が大きく変わるので選んで頂きたいです(^_^;) (2016年3月22日 18時) (レス) id: df83dcc9c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SORA | 作成日時：2016年2月20日 19時
