その胸の中は私だけに―――― 【練紅覇】*first*

∵†第八話†∴ ページ10

「え、ちょ、ここがもう、煌帝国？」





嘘でしょ？煌帝国ってこんな広かったっけ？





「近年、武力で周りの村やら国やらを支配しまくってるからね〜、知らず知らずの間にここまで広がったみたいだね」




……みたいって、紅覇、皇子なのに知らないのか……。





「だから、少し歩けば街とかあると思うよ〜？多分」



多分！？




「ま、まぁ……、それだけしか方法ないし……、行こっか」




「ごー！」









〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

紅覇side☆


「A、着いたよ、街」




歩きつかれて立ち止まってしまったAをおぶって来たはいいけど……





「……ん……」





あ、駄目だ、起きない。




「しょーがないなぁ……」




よいしょ、とおぶりなおし、この街の町長のところへ向かう。





「町長って言うぐらいだから、一番大きいところにいるでしょ……」





そこで、煌帝国のお迎え呼んでもらおうか……。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Aside☆



「A、着いたよ、街」





…………。




「……ん……」





「しょーがないなぁ……」




その声が聞こえた瞬間、体が少し揺さぶられる。





紅覇が私を背負いなおしたんだ。





……うん、本当は起きてるんだよ。




「町長って言うぐらいだから、一番大きいところにいるでしょ……」




てくてくと、規則正しい振動が入る。





いや、さっきまでは寝てたけどね。




街に着く直前で起きたんだけどさ。






………何となく、このままが良くて。






咄嗟に寝たふりしたんだよ。




悪い子、何て言わないでね。




ただ何となく、このままが良かった。





これって、おかしいかなぁ？







でも、おかしくても……









紅覇がおかしくないよ、って言ってくれたら、それでいいや。

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