その胸の中は私だけに―――― 【練紅覇】*first*

∵†第二話†∴ ページ4

「ふぅん……、Aちゃん、ね………」




何故だかわからないけれど、面白そうに顔を歪ませる練さん。何なのかな、気になるじゃん。




「…………ねぇ、君、僕と一緒に来ない？」









「……………………………………はい？」








今、この人は何と仰った？









「だからぁ〜、僕と一緒に、煌帝国に来ない？」







……………煌帝国に？







この人と、一緒に？









いやいやいや！有り得ないでしょ！






だってこの人、私の安眠妨害者だよ！？





睡眠=宝物！眠れるって素晴らしいじゃない！！









「……………すいませんけど、私、人と関わるの、苦手なので」






そうだ！私は人間と関わるのも苦手なんだ！









「でもさぁ、君、帰るところ…………あるの？」





「！」






先程の笑顔とは打って変わって、真剣な顔そのもので語りかけてくる。






何よ、その目。






「…………ないですけど」





私を見据えるような目をして。







「じゃあ、煌に来ちゃえばいいよ」









そんな軽々しく









「……………私が行っても迷惑になるだけです」






優しく









「僕は気にしない、君に何かあったら、絶対に僕が守る」









なだめるように言わないでよ。









「……………っ」









行きたい、って言っちゃうじゃん。









「…………ね？煌に、おいで？」








「…………うん…………」









そのあと。






何故か溢れてきた涙を溢す間、練さんはずっと優しく私を抱き締めてくれていた。






寒そうな、露出の高い服装だったけれど、練さんはとても暖かくて。









………………ここだけの話。









安らぐ、なんて思ったりもしてしまった。

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