035..貴方の手紙 ページ36
『・・・はい、先輩です。』
笑顔で、
あの時みたいに、純粋に二人、会えないですか?
確かにあのときは、今よりお互いの事、知りませんでした。
今も、全く分からないけど。
・・・過ごした時間は少なくとも増えたでしょう?
「近くにいるなら・・会いに来てくれたっていいじゃないですか・・」
――でも、なんで会いたいの?
――『まふさんとは付き合ってません』って言って
――『・・でも、まふくんの方が好きでしょ?』と返されたら、応えようもないのに。
天月さんの【ああならない人】というのを試してくれとも言えない。
足が止まった。
「先輩っ・・・」
桜の木の幹にすがって、座り込む。
膝に目を押し当て、涙を流した。
スカートが、涙にぬれた。
学校の裏門のそば、隅に咲いているのには勿体のない、大きな桜の木。
幸い場所からか人が少なく、目いっぱい泣くことができた。
描写のように長い距離は走っていなくて、素材自体が重いのピーコートと荷物いっぱいの鞄のせいで、精一杯でもこの距離しか走れなかったのだ。
近くにいるはずなんだ。
私の学校はちょっと変で、基本的、早退児の迎えの親以外、朝と放課後の開門時間以外入れないのだ。たとえ卒業生でも。
朝、遅めの時間の登校だったがこんな手紙はなかった。そしてこの放課後、私達はいち早く帰ることを決めた。
放課後の開門時間は15時40分から。・・いまは15時53分。
40分ピッタリに入れたとしても、13分で外に出てそう遠くに行けるほどこの学校は狭くない。
―――なんて、こんな推測してても1秒1秒時間は残酷に過ぎていく。
正門から入って正門から出たのかもしれない。だとしたら、裏門から出て外を探すなんて絶望的だ。
もう、私どうしたいんだろう。
―――そうだ、手紙読まないと。
・・そんな、今更なことをその場しのぎに思い出した。
握りしめられすぎてくしゃくしゃになった封筒の封を切り、便箋を取り出す。
綺麗な字で、一文字一文字、しっかり綴られていた。
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革ベルト
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るな(プロフ) - ぎゃーーーーー涙がーーーーー (2014年8月29日 21時) (レス) id: 8d24367ff0 (このIDを非表示/違反報告)
羅意思 彩月 - 感動でジーンときました。 (2013年9月15日 21時) (レス) id: 8eceea9d47 (このIDを非表示/違反報告)
オワタ ミク(プロフ) - 面白かったです\(^o^)/泣けてくる話でしたー! (2013年2月28日 22時) (レス) id: 4e16a5c933 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - 泣けました! 完結おめでとうございます! (2013年1月25日 4時) (レス) id: 30bc6ead24 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 完結おめでとう! (2013年1月24日 13時) (レス) id: d7db411825 (このIDを非表示/違反報告)
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