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030..追いかけて ページ31

先輩、事故なんです。

唇が、只勢いで、触れてしまっただけなんです。

伝えたいのに、そう言いたいのに・・・


どこですか?

どこにいるの?


どんくさくて方向音痴。

今まで諦めてた、自分のダメなとこ、今更全部恨めしい。


こんな、永遠に続きそうな廊下で、あなたに追い付けそうになくて


「先輩――・・」


体力も尽きてきて、心が折れそうになる。


前に、追いかけるべき人がいない。

そもそも、この方向に先輩が走っていったのかさえ不確かで、

それでも、無我夢中で走る。


もう既に、先輩に追い付いても何を言おうか決まっていないことなんて忘れていた。


それでも、走っているんです。


でも――・・


息を切らして、脳を限界に追い込めば、きっと、


まふさんの唇の味が残した、よくわからない感覚が消えると思っているのかもしれない。


「――・・」


走り疲れたのか、精神的なものなのか、生暖かい涙が頬を伝った。
一滴出た涙はまた一滴を誘い連鎖した。


最早もう、走り続ける理由も解らない。


「先輩――・・っ、まふさん――・・」


ゴールが解せない徒競走に、


突如、


ゴールが現れた。


暖かい胸の中、止められない涙のことさえ諦めて私は


――――


天月さんの胸の中で泣いた。


無理矢理に強引に全てを委ねられた天月さんは、


しばらく私の頭を撫でてくれていた。

まふさんたちの部屋から、どれだけ走ってしまっただろう。

ここどこだろう、今何時だろう。

冷静になって、やっとまともに思考回路がまわるようになったと思ったが、

それは沈静的な【問い】であり、【答】を求められるほどまともな状況には、なっていないらしかった。


「冷たいもの飲んだら、落ち着くかもよ?」

近くにあった自販機で買ってきたらしき小さめのペットボトルを私に差し出す天月さん。

悪くて受け取れない――・・と言いたいが、上手い断り方も分からず受け取り、少量口に含む。


弱めの炭酸が、舌を刺激した。


また涙が一滴こぼれた。





「天月さん、私――・・

自分がなんで今泣いてるか、分からない――・・」


〜〜

031..貴方の言葉は、時に刃物のように鋭い。/まふside→←029..which/まふside・・だと思う。


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るな(プロフ) - ぎゃーーーーー涙がーーーーー (2014年8月29日 21時) (レス) id: 8d24367ff0 (このIDを非表示/違反報告)
羅意思 彩月 - 感動でジーンときました。 (2013年9月15日 21時) (レス) id: 8eceea9d47 (このIDを非表示/違反報告)
オワタ ミク(プロフ) - 面白かったです\(^o^)/泣けてくる話でしたー! (2013年2月28日 22時) (レス) id: 4e16a5c933 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - 泣けました! 完結おめでとうございます! (2013年1月25日 4時) (レス) id: 30bc6ead24 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - 完結おめでとう! (2013年1月24日 13時) (レス) id: d7db411825 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美音 | 作者ホームページ:ない  
作成日時:2012年9月17日 18時

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