第５６話 幼馴染と誤解 ページ15
A視点
劇は大好評で終了。
アドリブとは言えど、中々良かったのかも知れない。
ひとまず安心し、ため息をついた。
太「A」
そう明るい声に振り向くと、
『ん、太宰…』
太「お疲れ様、いきなりすまなかったね」
『い、いや……まぁ』
心臓が酷く五月蝿い。
彼は、私よりもあの子なのだから。
駄目、落ち着け私。
『っ、あのさ………』
やっぱり、駄目なものは駄目だ。
今は、もう、シンデレラじゃない。
それでも、夢見ることはやめられない。
『私…………どうだった、？』
太「何が？」
『その、演技だとか声だとか！
ちゃんとシンデレラになってたかどうか………』
太「凄く美しかったよ。
何処か儚げな雰囲気を持ち、それでも可愛らしいとて素晴らしかった。」
よ、良かった…………のか？
太「……私からも一つ、否二つ」
『な、なに？』
太「一つは、ごめんね」
『………………え、？何が？？』
太「さっきの劇の前、此方見ないでって言うの。
いくらAが綺麗すぎて直視出来なかったとは言え………」
『ん？待って、待て待て待て』
太「どうかした？」
え、今、なんつった？この鈍感男。
綺麗？直視？そういった？
『い、今、なんて……』
太「どうかしたって」
『その前！』
太「嗚呼、それね、綺麗すぎて直視出来なかった」
そう照れ臭そうに笑う彼に、嘘など一つもない。
『そう………だったんだ、』
なんだ、勘違いで安心した。
太「うん、流石に誤解を招いてそうでね。ごめん」
『平気、伝えてくれてありがとう』
太「此方こそ」
それで、さっき二つと言っていたような………。
『ねぇ、太宰、二つ目って……』
太「えっ、嗚呼それは………その……」
すると太宰は、下を向き、何も言わなくなってしまった。
『？』
其処で________________________________
「あっ！Aさーん！」
別の人に呼ばれてしまった。
『えっ！？あっ、えと、ちょっと行ってくるね！』
そういって私は、呼ばれた所へと走り出した。
＊＊＊
太宰視点
Aが去ってからすぐあと。
本当は、文化祭デートに誘おうと思った。
けれど、自信が無くなってしまった。
太「この、臆病者………」
そう自分の頭を軽く叩いた。
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作者名：そこら辺の壁 | 作成日時：2023年11月21日 20時
