世界で一番不器用な君に俺から送る言葉は…【朔間凛月】

第6物語 ページ8

「では、今日のレッスンは終わりかな。」

曲を止め、ふぅと息を漏らした。

ひ「やっぱり、Aうまいじゃん！」

「あ、ほら紙があるし…。」

ゆ「それでも、すごいよ。」

あ、この雰囲気はヤバい。

これは賞賛する相手が心彩先輩から私に変わりそうなサイン。

少し話題をそらさないと。

「……二人も凄いよ！あ、もう遅いし帰ろ。」

すると二人はあぁ、そうだね。と顔を見合わせた。

「私やる事あるから、先帰ってて？」

ゆ「え、でも……」

「ううん、大丈夫。」

ひ「じゃあ、また明日！」

うん！と手を降り、二人と別れた。

二人が帰った後、私はきっと無表情になった。顔のパーツ一つ動かせないただの人形みたいに。

「はぁ、仕事やろ。」

ひなた君達に見えないように隠していた書類を一枚引き出した。

この紙の期限は明日まで。

明日、椚先生に渡さなくてはならない。

…………終わる気がしない。

しかし、やらなくちゃ

やらなくてはいけない。







「頑張ろう。」

腕をまくり、よしっと意気込みしてやり始めた。

その時、私が集中していたからかな。









スマホが鳴っていた事に私は気付かなかった。

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