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「ところで、今日は何をしたか知りたい?」
「別に知りたくないけど、まぁどうぞ」
「後ろから抱き着いてほっぺにキスしたんだ」
変人だ。
僕でも引くレベルの変人だ。
それを分かっていて契約を交わしたが、本当に変人だ。
「あぁ、あとそろそろ来ると思うよ」
「鶴宮が?
お前、今日は本当に一段とやってるな」
「抱き着いたときに筆箱の中に音声ラブレターを入れたんだ。
大音量で僕の声が響くはずだよ、だから来る」
音声ラブレター…
そんなことをするから仲良くなれないんだぞ、という言葉は胸にしまう。
…そんなことをしなくてもこいつは仲良くなれないからだ。
性格にしろ、普段の態度にしろ、いいかげんなところが多すぎる。
本当に御曹司か疑いたくなるレベルだ。
「ほら、足音が聞こえる」
「聞こえるな。
…別に来させるのは構わないけど、僕を巻き込まないでくれよ」
「もちろん」
ドアがノックされて勢いよく開く。
…礼儀正しいのか正しくないのかどちらかにしてくれ。
「お前なぁぁぁぁ!」
「鶴宮君から僕の所に来てくれるなんて嬉しいなぁ」
「ふざっけんなよお前!
何が”これから徐々に仲を深めて幸せに暮らそうね”だぁぁぁ!」
鶴宮翼。小太郎のクラスの学級委員。
平穏を望んでいるが秀同院のせいで実現できていない。
小太郎と仲が良く、かなり話しているのを見かける。
それでも僕が傷つけていないのはもちろん秀同院との契約があるからだ。
「気に入ってくれた?」
「気に入るか馬鹿!
とにかく返す!あともう送ってくんなよ、恥ずかしい!」
そう言って出ていく鶴宮。…一つアドバイスをやるが、それは逆効果だぞ、鶴宮。
「恥ずかしいって…
本当に照れ屋さんだね、鶴宮君…」
恍惚とした顔でそう秀同院は呟いた。
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作者名:future*show | 作者ホームページ:
作成日時:2021年8月4日 17時