【3*黒バス】泣くな、笑え笑え。【虹村修造】

。何千回 ページ38

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＿大学から帰ってからも、
私はひとりで糸電話を作っていた。


『糸電話だけだしなんで時間かかってんの？』と思いの皆様。これはただの糸電話ではないのだ。
正確に言うと、糸電話は糸電話なのだけれど、わざわざ空き箱を使って電話の(本体？)数字が並んであるところまで作っているのだ。


そして人より無駄に不器用な私は、人より倍時間がかかるという、アレである。アレねアレ。






「やっとできたー！完成ー！パチパチー！」



不器用さんが作ったのだということが丸分かりな糸電話が完成したとき、私は自分で自分に拍手をしたけれど何か虚しくなった。



早くこれで喋りたい。


でも、糸電話を使う前にとりあえずは電話か直接かで喋らなければならない。



仕方が無いので、電話で簡潔に伝えることにした。




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「もしもし、修造ー？」



『おー、Aか』



電話越しに聞こえる修造の声。
もう何回も何十回も何千回も聞いているはずなのに、電話越しだからかな、何かいつもと違うように聞こえた。



「糸電話作ったからさ、ちょっと二階の窓開けてよ」



『糸電話!?』



承知するより先に、驚いた様子の修造。


うん、まあそうだよね！
不器用白本さんがひとりで糸電話作ったとか、もうこれ伝説に残るレベルだよね！



「レジェンドっちゃうかもしれないけどさ！そこまで驚かないでよー..」



不器用だけどさ、と言うと、
『いやいやそこじゃねぇよ』と笑う。



じゃあ一体どこなの、というツッコミより先に、修造は昔話を始めた。



『お前、昔も同じことやってたなー、って思い出したんだよ。でも、昔は小さかったし今より不器用だったから、本体部分が上手く作れなくて泣いてたんだよ。あー、懐かしい』



「ちょ！！黒歴史が甦るうう！」




電話の向こうで笑っている修造が、ｷｨと窓を開けた音がした。





「それじゃあ、また糸電話でね。投げるから覚悟しておいてね」



『まじかよ、落ちたら取りに行けよ。じゃあな』




もちろん修造は、上手いこと私からの糸電話の片方をキャッチしたのだった。





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