【3*黒バス】泣くな、笑え笑え。【虹村修造】

。変化なし ページ33

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「しゅう、ぞう」



名前を呼んでみて、



「なんだよ、A」



呼ばれてみて
気がつけば二人だけの世界みたい。



「……明日のはずじゃ…」



本来なら、約束の日程は明日。

ちょっと大人びた服を着て、未だ慣れないヒールを履いて。
ほんの少しでも成長した私を見てもらうはずだったのに...。



でも、そんなこと、どうだっていい。

服？ヒール？成長？
そんなの、修造と会えた今、どっちだっていいことなのだ。



変わっていないけれど、少し大人になった修造を見上げる。



「あー、バスのチケット的なアレ？みたいな？」


鼻を触りながらそう言う修造。


…うそだ。


修造は嘘を吐くとき、必ずと言っていいほどする癖がある。
それが、“鼻を触る”こと。


中学生のときも、
私の誕生日をサプライズで祝う時に私に勘付かれ、

『俺の友達の飼ってる猫の誕生日なんだよ！』

と言い訳をしながら鼻を触っていた...ということがあった。



「うそだよね、何か隠してるでしょ」


私がそう言うと、修造は早い諦めを見せた。



「……サプライズ、的なことをしたかったんだよ。驚くかな、って」



「…素直じゃないの、変わってないね」


「うるせっ」



＿そうだ、変わってない、何も。




癖だって、口調だって、全然。




( “それ”が癖じゃなかったとしても、



　 修造の嘘を見破る自信はどこかにあったけれど、 )






私たちは、何も変わっていないんだ。



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