7 良かった ページ10
オレはリクオの耳元で言った。
「リクオ、今すぐ屋敷に戻って、鴆を呼んでこい。いいな」
リクオがうん、と頷くと、オレは行け、と背中を押した。
父さんの元へ戻ると、もう、古歌が読まれていた。
「七重八重 花は咲けども山吹の」
たのむっ！まにあえ！！
「実の一つだに なきぞ 悲しき」
父さんが古歌を読み終え、花言葉を言っている間に、オレはまにあい、少女が持っている刀から、父さんを庇った。
ドッと心臓に近い、右肩を刺された。
「ガハッ」
オレは口から、血を吐いた。
オレが父さんを庇ったから、なんとか父さんは急所が外れた。
ズッと刀が抜かれると、少女は悲鳴のように叫んだ。
「あ…ああ……鯉伴…様？ああ……ああぁ…あああああああああああああ！！！！鯉伴様！！」
少女の後ろから、でかい目玉のじじいが出てきた。
「フェフェフェ！そうじゃ！！自ら愛した男と、その娘をさしたんじゃぞ！！」
少女は悲鳴から、笑いに変わる。
「そうじゃ…妾は……待ちかねたのじゃ」
すると、屋敷へ戻れと言ったはずのリクオが出てきた。
「お姉ちゃんは誰？お父さんとお姉ちゃんを刺したのは、誰？」
ッ！リクオ！！
生憎、父さんは気を失っていた。
オレが……守らなきゃ！！
羽衣狐となった少女がリクオに近付く。
「なんじゃ、また人と交わったのか。どこまでも…読めぬ血よ
しかし、そうか…＿＿＿は、こやつの娘になったか」
……なんの話だ？
羽衣狐は、リクオを刺そうとする。
させるか！！
グサッと今度は腹へと、刀が刺さる。
「ふっ…行くぞ…鏖地蔵」
羽衣狐と鏖地蔵は去って行った。
オレがリクオを庇ったあと、リクオは怖くて、その場から逃げた。
……父さんは…死んでない……
良かった……
そこでオレは、意識を手放した。
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作者名：桜 | 作成日時：2015年2月27日 20時
