検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:4,285 hit

52●●○後悔 ページ5






「……あんまり、見えないね」


Aが少し眉を下げて、残念そうに言った。

二人で公園にたどり着きいつもの岩に腰掛けてみたはいいものの、空をあおいでも、小さな星たちは雲に隠れてしまっていた。

それでも、オレは嬉しかった。
君が、側にいる。君が、オレをここにつれてきてくれようとしたということに。
そして、悲しかった。
前までは習慣になりかけていた、君との時間が、こんなにも嬉しく、気を抜くと壊れてしまいそうな時間になってしまったということに。
オレにとってより貴重な時間となり、今こうしてその時の中で過ごしていることへのありがたさは増したのかもしれないが、オレはそんな心の高揚感を求めているのではなかった。
まるで年に一度の誕生日を待ちわびて、その一瞬の時を楽しみにしている子供と同じように、Aとの時間を求めたくはなかった。

毎日を共に過ごす家族と同じように、オレは、Aにとっての生活の一部になりたかったのだ。

二人でそのまま空を見上げ続けるが、厚く大きな雲は、月さえその後ろに隠したままで、どんよりとした灰色で視界を埋めるばかりだった。


「……今日は来ないほうがよかったかな」

「え? ……なんで?」

「だって、星が見たかったんだろう? でも、全然見えないし。楽しく、ないだろ」


Aの気持ちを知りたくて、適当に吐いたその言葉。本当は来ないほうがよかったなんて思ってない。そりゃ出来れば綺麗な星を見れたら嬉しかったし、建前はそういう目的で来たけれど、実際にはAと居られればそれでよかった。

だが、Aは黙ってしまった。

暗い闇の中、その理由が気になってその表情を確認しようとすると、Aは、きっ、とオレを睨んできた。
でもその瞳にはきらりと光るものがあって、オレはたじろいだ。


「征は、楽しくないんだ」

「え……、オレ?」

「じゃあ私は……辛い」


その言葉をきいて、衝撃で、心に鋭いものが突き刺されたような感覚になる。
辛い……。オレといて……?


「……そんなこと訊くなんて」

「っ、それは……」

「だって、今日は来ないほうがよかった、なんて」

「それは、Aが星を見れなくて残念そうだったから……」


おもわず言い訳じみたことを言ってしまう。
思ってないことなんて、Aを確かめるような言葉なんて言うんじゃなかった。
だが、後悔しても遅かった。オレは、またAを苦しめたんだ。

53●●○出来ることなら→←51●●○並んで



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

古川陽香 - snowmanさん» なんかファンディスク3にlegalgenerationがありましたよ。 (2017年8月11日 11時) (レス) id: 183ffda10b (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 古川陽香さん» 凄いですね!アニメイトの先輩だ笑リーガルジェネレーション大好きです(≧▽≦) (2016年2月25日 21時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
古川陽香 - snowmanさん» 赤司君のCDもうアニメイトで買いました!はなまるぴっぴはよい子だけやリーガルジェネレーションも!今はトトコちゃんの今夜は最高やおそまつのクリアファイルやおそまつのメガネケースをゲットする予定です! (2016年2月25日 21時) (レス) id: 362e086b66 (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - ちかるたんたんめんさん» ありがとうございます(;つД`) (2015年10月19日 15時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
ちかるたんたんめん(プロフ) - 私も早く続きが見たいんで(^_-)-☆(笑) (2015年10月19日 15時) (レス) id: b199c19f9a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:snowman | 作成日時:2015年5月6日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。