スペシャルな金曜日 ページ19
「では、こちらのプランで進めさせて頂きますね。次回、打ち合わせの時にまとめてきますので」
[咲坂さん、この後予定は？ランチ、一緒にどうですか？]
「申し訳ございません。せっかくのお誘いなんですが、この後も打ち合わせがありますので…」
[そっかぁ、残念だな〜。ではまたの機会にってことで。で、来週の打ち合わせの件ですが、私が打ち合わせが立て込んでいて、金曜日の16時しか空いてないんですが…どうですか？]
「金曜の16時ですか…少々お待ちいただけますか？確認致しますので」
会社のタブレットで共有カレンダーを確認する。
そうだな…
私も来週はどの日も打ち合わせでいっぱいだ…
金曜の15時以降しか空いてない…
なるべくこの時間帯は
早く帰りたいから打ち合わせ入れたくないけど…
「いいですよ。私もその日しか、空いてないので」
[では、来週金曜の16時で。よろしくお願いしますね]
「こちらこそ、よろしくお願い致します。では、失礼します」
はぁ〜やっと終わった。
専務の杉浦さん、毎回しつこいから
断るのが大変なんだよな…
社長さんはすごくいい人なのに
とりあえず、会社に戻って残りの資料作らなきゃ。
「咲坂、ただいま戻りました。加賀谷次長、今お時間いいですか？」
[お疲れ様。大丈夫だよ。あっちのテーブルでいいかな？]
午前中の打ち合わせ内容を報告して
次回までのプランを詰めていく。
[次の打ち合わせは、金曜の16時だったかな？]
えっ…まだ、その事伝えてないはずなのに
[あぁ、さっき杉浦専務から電話もらってね…ほら、そのプロジェクトのほかにも進めてる企画の件で]
「そうでしたか。まだ、スケジュールにも入れてなかったので…ビックリしました」
ちょっとビックリしたけど
いつもの事だし特に気にせず作業にもどった。
そして、日々の業務は何事もなく進んで
＿＿金曜日
ボードに“御村物産 打合”って書いていると
[咲坂、今日はそのまま直帰でいいぞ。打ち合わせ後の報告は、月曜でいいから]
「ホントですか！？ありがとうございます。お言葉に甘えて直帰させて頂きます！」
滅多に直帰を許してくれない
あの、加賀谷次長が自ら
“いいよ”って言ってくれるなんて！
季節はもうすぐ夏になるというのに
明日、雪でも降るんじゃないかな。
なんて思いながら、
“打合”の文字の隣に“直帰”と書き足した。
華金で直帰なんて…
なんてスペシャルな金曜日なんだ！！！
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作者名：二葉(ふたば) | 作成日時：2018年2月16日 23時
