注がれたお酒、心地いい声 ページ20
「……大方こんな感じで。あとは最終段階に入ってからなので…目処がつき次第、こちらから連絡致しますね。ありがとうございました」
やっと、このプロジェクトも一段落。
しばらくは杉浦専務との打ち合わせもない。
今日はホントにスペシャルな金曜日だ！
なんて、浮かれていたら…
[咲坂さん、今日は直帰ですか？]
「えぇ…まぁ、そうですけど」
[じゃぁ、ご飯行きませんか？ずっとランチ断られてたので、拒否権はありませんよ？さぁ、行きましょう！もう、予約はしてあるので]
しまった…
っと思った時にはもう遅くて
なぜ聞かれたときに、
「違います」って言わなかったのかと後悔…
強引に腕を引かれてタクシーに押し込まれた
30分ほど走って降ろされた場所は
都内でも結構有名で星マークが付くようなホテルで…
「こんな所、私払えません！！」
[今日はお誘いした私が、ご馳走するので]
なんて言われたもんだから
タダならいっか♪って
もうどうでも良くなってしまった。
[杉浦様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ]
すすめられた席は
夜景がよく見える席で
料理も景色も充分に楽しめる席だった。
[咲坂さんは、お酒飲めますか？]
「えぇ、まぁ嗜む程度ですが…今日は、やめておきます」
さすがに取引先の方の前で
何かやらかすといけないし…
[まぁ、そんな言わずに…1杯だけでも]
私の断りなんか聞きもせず
グラスにワインを注いでいく
「では、1杯だけ」
そんな会話をしてから
どれだけ時間が経ったのか…
結局…1杯だけ、と言ったのに
飲み終わる前に継ぎ足されて
いつも以上に飲んでるような気がする…
[さて、そろそろ帰りましょうか。送りすよ]
エレベーターで1階まで下りると
急に酔いがまわってきた
「(ヤバい…早く帰りたい)」
[咲坂さん、大丈夫ですか？私、今日このまま休むつもりで部屋取ってるので、少し休んで行きましょうか]
断ろうと思ってるのに
思考も足も全然いうこときかないし…
あぁ、このまま休ませてもらった方がいいのかな…
『咲坂！』
[ちっ…]
「(なんかすごーく、心地いい声で呼ばれた気が…)」
そこで記憶が途絶えてしまった…
予定表ボードの“直帰”＊[N side]→←スペシャルな金曜日
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作者名：二葉(ふたば) | 作成日時：2018年2月16日 23時
