05‐よくある事 ページ5
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待ち合わせ場所に着いた時には、もう私以外の皆が揃っていた。
一人の友達が私に気付いて、それから皆こちらに手を振る。
「お待たせ!」急ぎ足で駆け寄ると、友達は私を見て固まった。
「えっ……Aめっちゃ垢抜けんね……」
「どこの大学生かと思った!」
そんな友達の声に多少なりとも頬が緩む。
だって時間をかけた分、褒められたら嬉しいもん。
良い気分でプリクラを2枚撮って、友達と写真を撮りながらお店へ行く。
着いたのはざわついた居酒屋だった。
本当は高校生だから居酒屋は駄目だけど、今日はそのためにわざわざ制服から着替えてきたのだ。
ちょっとくらい羽目を外したって誰も私達の事を気にしないだろうし、周りには幼い大学生だと思われるだろう。
「かんぱぁい!」
__そんな言葉を合図に、いつの間にか時刻は21時前を指していた。
お酒こそ飲んでいないけど、周りの空気に流されて、私達もいつの間にか大声で笑って喋っていた。
お店の人に、飲み放題のラストオーダーを聞かれたのが30分前。
そろそろ出なきゃなあ、なんて頭で思いながらも、話が面白くて誰もそれについて言及せずに一生の時間があるみたいに話し続けていた。
「すいません、先にお会計だけしてもらって……」
「あ、はーい!」
遂にお店の人が2度目のトライに来た。
私達はその言葉で、漸くそれぞれのかばんを持って重い腰を上げたのだった。
ふわふわと宙に浮くような気持ちで、帰りは友達と腕を組みながら右に左にと、ふらふら歩く。
楽しいご飯でお腹いっぱいの後は、いつも気持ちいい感じ。
治安が悪い商店街の真ん中を、6人で歩けば怖くないとでも言うように蛇行していた、その時だった。
「ねえーね、そこの可愛いお姉さん達!」
商店街の少し路地に入った所から、突然人が出てきた。
3列で歩いていた、一番後ろに声をかけた見るからにチャラそうな人。
私は真ん中を二人で歩いていたから、反射的に後ろを振り返る事となる。
「今ご飯帰りとかー? 2次会とか考えてない?」
「えー、今から帰りまぁす」
「俺の働いてる店、美味しいドリンクとか一杯あるんだけどどう?」
「あははー! 何ソレ」
私達グループの中で男慣れしている友達が言葉を交わしながら勧誘を流す。
…いつもならこれで終わるのに、何故か今日は勧誘がやけにしつこかった。
ばちっと私と目が合った男の人は、次の瞬間私の手首を掴んできたのだ。
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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(?) (6月15日 23時) (レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん!の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか? (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました!最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です! (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ!! (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年10月22日 21時