初恋キラー実弥警官【鬼滅の刃】

31-俺の出来る事 ページ31

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「…分かった！ 炭彦君、ありがとう
変な話してごめんね」

「んーん、全然ー
いつでも相談してよ」





頬杖をついてへにょりと笑うA。
笑うとまん丸の瞳がなくなって垂れ目がちに細められる。

力なく緩む口元と表情が凄く可愛い。





「…じゃあさ！ 相談ついでに良い？」

「うん。何ー？」

「炭彦君の好きな人ってどんな子なの！」

「えー？ 俺のー？」





この子、本当に気付いてないの？
何も勘付いてなさそうなキラキラした目が俺を捉える。

わくわくを隠してきれていないそれに思わず笑ってしまった。





「…俺の好きな子はねー。
勉強が凄く出来るけど、鈍感でちょっと抜けてる」

「ええー？ それ褒めてる？」

「うん。笑うと目がなくなって周りに花が咲くんだ
明るくて気配り上手で、頑張り屋で、何事にも一生懸命で……守ってあげたくなる」

「……何、か私に言われてる訳じゃないのに、照れちゃった」





少しだけ頬を赤らめてAは睫毛を伏せた。
…違うよ。俺の顔、ちゃんと見てた？
　好きな子に向ける目を、してたよ。ずっと。





「……Aは？
俺に聞くって事は、好きな人いるんだろ？」

「えっ……うん、まぁ……」

「どんな人なの？」





相手はもう、何となく察しはついているけど。
さっきのハンドクリームを握る手が震えていたのを、俺は見ていたから。


言いにくそうに瞼を震わせて目を伏せる彼女の横髪がさらりと頬にかかる。
艶々でうねりを知らない茶髪が愛おしい。





「……私の好きな人はね。大人で、クールで、でも、笑うと優しいの。
相手の事を真剣に考えてくれる人。……強くて、私を守ってくれる、そんな人」

「……そっかー」





つきん、と心臓が恋的な痛みを伴った。
何ともないふりして相槌を打つのがとても辛い。

俺とは正反対のような男だ。
……俺は大人でも、クールでもない。
いつもAに嫌われないようにって、へらへら笑って。





「凄く好きなんだね、A。その人の事」

「……うん、好き」

「＿＿俺も好きだよ」

「…っへ？」

「俺の、好きな子のこと」

「……あ、ああ！ 好きな子ね！」





思わせぶりな態度を取ったって、いくら優しくしたって、Aは鈍感だから気付かないんだよね。
そんなところだって好きなんだから、惚れたもん負けだ。





「炭彦君なら絶対上手くいくよ！」

「…っふ、ありがと」





俺がこの子を、守ってあげたかったな。





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