16-苦しい優しさ ページ16
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身に覚えのない高層マンションに思わず口を開けて見上げる。
そんな中傘を差しながら後ろのドアを開けてくれた実弥…し、なずがわさんに手を引かれて為す術もなく私はそのマンションの入り口へと足を向けていた。
慣れた手つきでロックを解除して、さっさと私の手を引きながら1階の洗練された廊下を渡っていく。
…これは、もしかして。もしかすると、これは、
私の期待に応えるかの様に、不機嫌な彼は傘をたたむこと無く一つの玄関前の傘立てにそれを乱暴に立てかけ、私の方を見遣る。
「ジャケットの内ポケットに鍵あっからくれ」
「え、う、内ポケット？」
「違ェ、そこじゃねェ。……たく、」
ジャケットを羽織っていた私にぬっと手を差し伸ばしてきたかと思うと、グローブ越しの手が胸元を弄った。
意識しなかった距離に思わず肩が跳ねて息を呑む。
ガチャン、
無機質な重い音と共に彼は中に入って行った。
戸惑いながらも立ち尽くしていると「何してる」と低い声が飛んで来て、その次にはまた強い力が私を中に引っ張り込んだ。
「ここで待ってろォ」
「っは、い」
乱雑に靴を脱ぎ散らかして寒そうに少し先の扉の向こうへ消えて行ったお兄さん。
それからすぐに、水の勢いよく流れる音がして、戻ってきた彼は手にタオルを持っていた。
貸してくれるんだ、優しい。
呑気に手を伸ばすと、あろう事か不死川さんはその手ずから私を拭いてくれたのだ。
「っちょ、えっ、」
「今風呂沸かしてるからもうちょっと待ってろ」
「なん……で……お風呂、」
「あァ？ びしょ濡れのまま返してやれっかよ」
物凄く凄まれ、あまりの怖さになす術もなく体が硬直する。
蛇に睨まれたカエル。野獣の前の兎。
こんなに治安が悪い警察官が居ていいのか。
さっきの電話を聞いた後でさえ本当に警察かどうか疑わしくなるくらいだ。
「＿もうすぐ沸くな…お前、服脱げェ」
「えっ」
「風呂の使い方は分かんだろォ」
また手を引かれて、慌てて濡れたローファーを脱ぐ。
靴下まで雨は浸水していたから、綺麗に手入れされてるフローリングに私の足跡が情けなく残った。
どうにかなるか、なんて少し身構えたけれど連れてこられたのは浴室だった。
「こん中に下着入れて持って帰れ。
新しいのは用意してやっからァ」
「……っは、い」
何でそんなに優しくしてくれるの？
43度のお風呂は、冷えた体には少し熱かった。
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k - おそらまめさあああああああん、、(4回目)いや、あの最高でした。胸きゅんってこういうことを言うのですね、、やはり実弥のかっこよさは最高ということですね。(？) (6月15日 23時) (
レス) @page46 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 赤の他人で恐縮ですが言わせてもらうと文才すぎやろ〜才能爆発やん！の二言です。ありがとうございます。はい。 (2022年10月6日 22時) (レス) @page46 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 39ページ 舌を見ると の 舌 は 下 ではないでしょうか？ (2021年6月4日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - Lunaさん» Luna様、最後までご愛読ありがとうございました！最後は少し駆け足になってしまいましたが、胸きゅんお届けできて嬉しいです(^^)かっこいい実弥さんは永久不滅です！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
Luna(プロフ) - はじめまして。胸きゅんの素敵なお話ありがとうございました。実弥さんかっこよすぎましたっ！！ (2021年5月28日 16時) (レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年10月22日 21時
