検索窓
今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:110,198 hit

第十話 ページ10

気づけば辺りは一面真っ赤に染まっていた
手を見ると手も真っ赤になってて

あぁ、クソ野郎共を殺った返り血か
後は衣織を撃ち殺した男のみ


「何なんだよっ………何なんだよお前!!!」


さっきまでの威勢は何処に行ったのか、俺を見るなりへたり込んでやがる
そいつの胸倉を掴むと殺さないでくれと訴えた


「アイツもそう言って結局は殺したんだろ?」


それなのにお前は生きてるなんてずりぃじゃねえかよ。


「それに、お前を殺しても隠蔽が得意な奴がいんだ。残念だったな」

「ヒッ…!」

「あの世で精々イキれや。クソ野郎」


衣織と同じようにそいつの心臓目掛けて銃を撃つ
完璧に虫の息となったそれを蹴飛ばし、衣織のところへ行く


「衣織、」


優しく抱きしめ口に付いてる血を拭う


最後に衣織を抱きしめたのはいつだったか

こいつの名前を読んだのはいつだったか

俺は兄らしいことをしたことがあったか


「助けを求めてたのにな………」


痛かっただろ?怖かっただろ?最期まで俺を頼ってくれたんだな

それなのに俺は


「すまねぇ……すまねぇ!!衣織っ……!!」


なぁ神様よ。こいつが一体なにをしたって言うんだ?
バチが当たるのは俺だけで十分だろ

こいつを理解してやれなかった罰なのか?
あまりにも残酷すぎんだろうがよ

衣織は俺を兄と慕ってくれた。ちゃんと向き合おうとしてくれた
なのに俺は一度でも兄らしいことをしたことがあったか?

衣織と父親を重ねて合歓にだけ愛情を注いだ
衣織は衣織だと何故それができなかった

お袋は衣織を愛していたのに

後悔ばかりが押し寄せる。後悔しかない


「兄ちゃんが悪かった……衣織、」


目を覚ましてくれ、またやり直そう。なんて
虫が良すぎんだろ



俺は、衣織の兄と名乗れない























アイツを妹として見てやれなかった


それが悪かった



アイツを、妹を殺したのは誰だ?

第十一話→←第九話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (272 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
381人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

わか(プロフ) - pixivでこの作品を見ました。とてもお気に入りです! (2021年6月6日 22時) (レス) id: aec0402c52 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 書籍化おめでとうございます!!自分はこと作品が大好きで何度も読んで、何度も泣いてしまいました(>_<)。ずっと応援させていただきます!素敵な作品をありがとうございます!! (2021年6月6日 3時) (レス) id: a34950640d (このIDを非表示/違反報告)
侑月(プロフ) - 何度も読み返し何度も泣いてしまう…続きがすごく気になります (2021年5月20日 0時) (レス) id: ba69c8b6c6 (このIDを非表示/違反報告)
胡瓜しらす(プロフ) - 泣いちまったよ畜生…………うわあああああああああああ!!!!!!(´;ω;`) (2021年3月27日 13時) (レス) id: 25950665d2 (このIDを非表示/違反報告)
星妻桜(プロフ) - ああああああ!( ;∀;)オエ(しんどすぎて吐いた音) (2021年3月3日 16時) (レス) id: 8fe565e777 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リア | 作成日時:2021年2月22日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。