第32夜 ページ32
.
｢元々この船、戦力が足りんかったんよ。せやから志麻くんを味方にする時も戦力になりそうなゾンビ、それもアーミーゾンビを選んだんやけど___これがまあ強いのなんの｣
｢え、そうなんですか｣
｢力で全部解決するからなー、うらたんと坂田は志麻くんを大分気に入ってた、せやから思い出そうと頭痛がする、なんて術かけたんやろ｣
その言葉から察するに、2人の志麻への執着は相当なんだろう、どう説得するか今から悩みどころでしかない。
でも____執着しているのは、志麻、に対してなんだろうか？
その執着は、戦力に対してなんじゃないだろうか？
｢_____で、そんな2人と今志麻くんは会ってるわけやけど｣
｢もしかして、……誘導しました？｣
｢なんのことやろ、俺はただ志麻くん呼んできてと言われただけやからなぁ〜｣
そう言ってわざとらしく話すセンラさん。
ああ、やっぱりこの人はこういう人だった。
｢ただ用事があっただけかもしれへんで？でもそういう可能性もあるーってだけや｣
｢何かあってからじゃ遅いんですけど、どうするんですか｣
｢俺が話したかったのは本当やし、あの二人がいきなり命を奪うーとかそんなことせえへんのは俺がよく知っとる｣
茶化すような口調から一気に真剣な口調になり、思わず出そうになった言葉を引っ込めてしまう。
志麻については自分がよく理解してる自信はあるが、うらたぬきさんと坂田さんについてはセンラさんの方がよく知っている。
｢じゃあ、一緒に来てください｣
｢へ、どこに？｣
｢志麻のところに、です。何かなかったとしても、損はないでしょう？｣
それなら、とセンラさんの袖を掴み軽く引っ張る。
私ひとりで行ってもいいのだけれど、もしも何かあった時、私ひとりじゃ力不足すぎる。
武器も力も何もない私じゃ、足でまといにしかならない。
センラさんも特に抵抗するつもりもないのか立ち上がり、2人で部屋を出て倉庫の方へ向かう。
それから志麻の声が聞こえるまで、そう時間はかからなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
