第33夜 ページ33
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怒鳴り声、だ。
距離があるせいではっきりとは聞こえないけど、荒々しく何かを言っているのだけは分かる。
その声に促されるように足の動きを少し早め、センラさんと2人で扉の前へと辿り着く。
｢_____っせやから！あいつをどうにかする必要なんてないやろ！｣
｢まーしぃ、何をそんなに怒ってるん、もしかしてもう思い出して…………｣
｢思い出してへん、でも、あいつは、Aだけは、傷付けたらあかん、って｣
はっきりと、声が聞こえる。
勢いよくドアノブを掴んだのはいいものの、それを動かすことが自分にはできない。
今になって、怯えているんだ。
今まで散々啖呵を切っておいて、今、自分の存在が否定されたら____その恐ろしさに、飲み込まれそうになる。
｢……うらさん、やろ、これ。さっきからずーっと頭が痛くて痛くてしゃあないねん、全部、あいつのこと考えてるときばっかや………！｣
｢_____まーしぃ、まーしぃは今すごい苦しいんじゃない？頭も痛い、それに昨日から何も食べてない。相当腹も空いてるでしょ、その上さっき力も消費した。………そろそろ、何か食べたいって本能的に思ってるんじゃないの？｣
うらぬきさんの声に耳を疑う。
何も食べていない？いや、彼はさっき私を倉庫から追い出したあと、戻って行ったはず。
センラさんの方に視線を向けると、彼はこくん、とうらたぬきさんの言葉に対して肯定の意味を持つ頷きを見せた。
｢ねぇ、食べないの？あの子｣
____それは、悪魔の囁きだった。
｢………っ！何言うてんねん、ルールを作ったのはそっちやろ………！｣
｢まーしぃは意外と律儀な子だからね〜、……今ここで俺が"時間切れ"っていうことにしたら、彼女はただの食料だよ？｣
｢このルールに公平性なんてあらへんって、なんせ作ったのがうらさんやし｣
思わず、息を呑む。
そうだ、私の命は、彼らの気分一つでどうにでもなってしまう。
改めて、自分が今どのくらい不利な立場に置かれているのか、それを突きつけられたような気がした。
どんどんと重くなっていく気分とは反対に、軽くぽんぽん、と頭を撫でられる。
センラさん、だ。
｢人間と化け物は、本来相容れない関係だし、あっちには厄介な人ばっかやけど………この状況はさっさと解決したいとこでもあるし、ほんの少しだけ、力添えしたりますよ｣
その優しい声色に、背中を押されたような気がして。
私は、ドアノブに力を込めた。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
