彼は私に冷たい【snr】

６. ページ17

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仕事中にセンラから「夕飯を食べに行こう」と連絡があった。付き合い始めてからの外食の誘いなんて珍しいどころか初めてな気がする。

風邪をひいて以来、劇的な変化があった訳では無いけれど、最近は私の前でも表情を和らげてくれることが増えた…と思う。気の所為じゃないと信じたい。


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…こんな日に限って残業とは。センラは定時きっかりに上がったらしく会社前まで迎えに来るというメッセージが入っていた。


連絡から30分程経過したところで、流石にこれ以上待たせる訳には行かないと思い、先に帰っていて欲しいという事と食事は日を改めようという事を記した一報を入れれば、変わらず「待つ」と一言だけ返信が来た。


待たせる訳には行かないという気持ちと、ちょっぴり楽しみな気持ちを抱えながら急いで仕事を終わらせる。連絡を入れてから30分くらい、計1時間ほど待たせてしまったことを申し訳なく思いながら、急いで荷物をまとめて会社を出る。

辺りを見回してみると、スマホを弄る少し猫背な彼を見つければ、急いで駆け寄った。


「お待たせ、本当にごめん」
「…遅い、行くで」


センラは私を一瞥すれば、行く予定らしいお店の方向へ足を進める。視線を下げれば、しっかりと握られた私の右手に、気遣って合わせられた歩幅。


言葉として聞きたいだなんて思っていたけれど、彼なりに行動で表してくれている。そう思うと嬉しくて頬が緩むのを抑えられなかった。



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