彼は私に冷たい【snr】

１０. ページ26

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怠く重い体に鞭を打ちながら一日の仕事を終え退社する。少しお酒でも飲みたいななんて思って、ふらりコンビニへ立ち寄り、最初に目に付いたのは雑誌コーナーだった。


高校時代はあんなに読んでいた雑誌だって大学、社会人と年齢を重ねるにつれ、手に取ることが減って行ったなと本棚を眺めていれば、一角には一段と目を引く様な煌びやかな雑誌、結婚情報誌が目に留まる。


そろそろ結婚とかそういうのも考えたい年齢に差し掛かってきたから、センラに「私のことどう思ってるか」とか聞いてみたりしたっけ、と思い出す。


これまで冷たくされるばかりの生活で、結婚してこの先生涯を終えるまで彼と過ごすなんてあまり想像出来なかったけれど、彼の本音を耳にしたり、態度を注視してみたり、卑怯かもしれないけれど、SNSを見てみたりして考えが改まったと思う。


笑顔が溢れる家庭で、毎日のように愛を伝えられるのが素敵だなと思ったことは何度もあるけれど、優しい微笑みに包まれる家庭で、言葉に表されなくとも態度で示してくれる生活もそれはそれで素敵だなと思うし、今ではその生活がしたいと思う私も居る。…センラはどう思ってるか分からないけれど。




自分の心境の大きな変化に笑みを零し、お酒のことなんて忘れて、代わりに目の前の雑誌を手に取って帰路についた。


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