11(Yside) ページ11
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ミツが死んで2ヵ月…
あの日、ミツの死を知った太輔は俺の前で気を失い、そのまま3日間目を覚まさなかった。
そして、長い眠りから目を覚ました太輔は、笑顔も、声も…生きる気力さえも失ってしまっていた。
虚ろな目で俺達を見付けると、突然声も出さず激しく涙を流し、泣きやんだと思ったらただ茫然と宙を見つめる…
ミツの死は太輔を廃人のように変えてしまった。
キスマイの支柱とも言える2人を失った今、残された俺達はグループでの活動の休止を余儀なくされてしまった。
いや、違う。
…俺達が活動できる状態じゃなかったんだ。
誰もが目の前の現実に呆然とするだけで、動き出すことが出来なかった。
俺達の様子に事務所はキスマイの活動休止を決め、太輔は実家に引き取られた。
それでも太輔が元気になれば、また6人で活動を再開したい。
その気持ちだけは、皆迷わず胸に抱いていた。
仕事が無くなった俺達は、定期的に集まり太輔の実家を訪れた。
何をする訳でもない。
ただ、太輔の部屋で酒を飲みながら、仕事の話をしたりミツの話をしたり…
太輔にミツの事も仕事の事もちゃんと受け止めて、前を向いて欲しいと願った俺達が、5人で考えて辿り着いた唯一の方法…。
「ほら皆でさ、過酷ロケ行った時にさ。」
「あ〜、あれ、めちゃくちゃキツかったよね、ガヤ。」
「…」
何度も通った甲斐があり、最近ほんの少しだけど、仕事の話には表情を穏やかにし始めた太輔。
でも…
「あん時、ミツ、すげぇ驚いた顔してさ。」
「そうそう!あの顔、面白かったよな!ね、ガヤさん!」
「……」
ミツの話には…頬を強張らせたままだ。
だけど、そんな太輔を責めることなんて出来ない。
だって…俺達だって、笑って見せてるだけ。
心からはまだ誰も笑えない…
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作者名:MISA | 作成日時:2014年7月7日 16時