偽りでもいい ARS × KJ∞ ７

１６１・波多野side・ ページ11

・波多野side・




「先生、どうもありがとうございます」


波「いいえ、またなんかあったら来てください」



午前中最後の患者さんの診察も終わり


椅子に深く座ってふぅって溜め息を吐いた


看護士さんが


波多野先生今日は午後の診察遅れないでくださいねー


何て言ってパタパタとお昼を食べに出ていった


俺は遅刻の常習犯だからね


何て思いながら


すでに誰もいない診察室で


はいよー、って返事をする



波「さてと、」



俺もお昼でも食べに行こうかな


診察室を出て病院内を歩く


お昼にも関わらず


沢山の人が行き交うロビー


込み上げるアクビを噛み殺しながら歩く


売店でカツサンドとイチゴミルクを買って中庭に出た



波「うっわぁ」



今日は快晴で


空は青く、雲ひとつない


緑色の芝生がキラキラ光ってて


思わず見とれてた


と、冬の冷たい風が


俺の頬を撫でる


いい天気だけどやっぱ寒い


白衣の袖を伸ばして身震いする


やっぱ、自分のデスクで食べようかな・・・


また、込み上げるアクビを噛み殺す



「先生！」



その声に振り替える


さっきまで俺を襲ってた眠気はぶっ飛んだ


ずっと気になってた


ずっと、心配だった


君は笑っているのか


君はまだ苦しんでるのか


ずっとずっと気になってた


でも、君は笑ってるね


キラキラの笑顔で笑ってるね


一目で分かった


この子は今幸せなんだと


ピュウって


また、冬の風が吹く



波「久しぶりだね、Aちゃん」



君は、笑顔で頷いた

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