広間 ページ14
ふっと目を覚ますと高い天井が見えた。
少し冷たい空気とセブルスの部屋とは違う薬草と消毒液の様な匂いはいつもお世話になる医務室だろう。
幸いなことにまだ日付が変わる前、おそらく午後５時くらいなことを確認してため息を吐いた。
のろりとベットから上半身を起こすと赤ストライプのエプロンドレスをきたマダムが私のことを鋭くにらむ。
「また貴女は！
…でも、また来れる様で良かったです。
ダンブルドア先生に話は少し聞いていましたから。」
マダムは私の額に手をやり、熱を測った。
「微熱程度には下がりましたね。
薬を飲んだら今日のところは寮に戻っても構いませんよ…」
苦そうな(実際すごく不味かった)コップの中身を飲み干してゆっくりとベットから立ち上がり、ブーツに足を滑り込ませた。
『いつも迷惑をかけますね、マダム。
また』
会釈した私に彼女は表情を少し歪ませた。
「また来ないでくださいね。
その方がありがたいですから」
ツンデレじみた発言にくすりと笑えば医務室のドアを閉められマダムの姿は見えなくなった。
階段を降りて地上階に戻れば広間にいく生徒が多い。
晩御飯の時間かな、と少し期待して波に逆らわずに足を進めた。
生徒に紛れながら机に向かい、ドラコを見つけると隣に座る。
特に気にしていなかったドラコがこちらを見て目線を友達に戻したかと思えばすごい勢いでグリンと首を回し、私の顔を二度見した。
「…え、今Aは家にいるはずじゃ…
ゴースト？」
霊体だと思われているのか私の手に触れることにドラコは再び驚いた。
『先ほど帰りました、ドラコ。
他の人たちは？』
ポーカーフェイスを取り戻した彼はコップのジュースを一気に飲み干して軽く深呼吸した。
心の中では百面相をしている気がして、なんだか微笑ましい
「あ、あぁ…
レギュラスなら確かフリットウィック先生の授業の片付けだな。
パンジー達は確かダームストラング生と話していたな…
どちらももうすぐ来るとは思うが。」
ドラコの反対側にどさりと誰かが座り、磨かれた茶色のテーブルに突っ伏した。
少し癖のある黒髪に、暗い雰囲気。
それでもきっちりときこなしている制服の男子。
「…ねむ…」
一言誰に向けられたわけでもなく発されたであろう言葉は私が一番聴きたかった声
私はベンチから立ち上がり、その彼の広い背中の後ろに立った。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年1月10日 2時
