【ハリーポッター】吸血鬼少女は戦う【１１章】 (ページ14)

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理性的ページ14

ーA視点ー

「レギュラスのところから逃げて来たということは、奴がまた何かしたのか」

ドラコが発する文は疑問形ではあるが、イントネーション的には言い切っているように聞こえる。
肯いてやりたいところではあるが…まぁ、ボロが出たらアレだしということで黙り込むことにしたのではあるが、無言は肯定とみなされたのか彼はため息をはいた。

『だって…レギュラス、大事なこと一人で決めてしまうんです…』

「良くないことを？」

ダフネは私の髪の毛を結い上げながら問うた。
終わったのか彼女は私の背中にぴったりとくっついて腕を回した。

隠し通すのも無理そうだと思い頷けば彼女はそっかぁと柔らかい声色で相槌を入れた。

「レギュラスは理性的だ。
だが逆に、合理性を求め始めたら理性の適用にブレーキが効かなくなる。」

G.K.チェスタトンによれば、狂人とは理性を失った者ではなく、理性以外の全てを失った者だと、ミリセントは言った。

それはつまり…極限まで無駄を省き、いらぬものを切り捨て、本当に必要なものだけの為に周りの物、人さえも使う。

レギュラスは本質的には優しく、愛情深い人だ。
家族思いだし、嫌いとは言っているけど実際にはシリウスのことは好きだし。
ただ、その愛情を表現するのに合理性を求めすぎるところがあり、優先順位がはっきりとしすぎているのだ。

ーーーーーー

ムッとした表情のまま談話室に戻れば、その元凶は虫さえも殺さぬような、穏やかすぎるような表情で後輩達と話している。
私がここまで悩んでいるというのに、彼はここで女子に囲まれていたのかと思うと軽く殺意が湧く感じはあるのだが…

湧き上がる感情を押さえつけるように息を深く吸う。
なんだか、精神年齢が子供になってきている気がするのが怖い。もう少し理知的にいかねば。

『レギュラス、お楽しそうですね？』

…私は何を嫌味のようなことを言っているのだろう？
彼の周りに座る女の子達は私達が付き合っていることは知っているので少し嫌そうな顔をしながらも少し距離をとった。
別に彼女らに恨みがあるわけでも何でもない。レギュラスに怒っているだけだ。

「まぁね。
貴女は目が腫れていますね。」

うっすらと微笑みを浮かべるレギュラスはゆっくりと親指を私の目の下にそわせた。
固まっているのをいいことに、顔周りを撫で回す彼は何が面白いのかクスクスと笑い始めた。

　
　