進路 ページ15
ーハリー目線ー
シリウスと話すことができたら一番いいのに、とぼやけばウィーズリー兄弟に協力すると言われたけど、ハーマイオニーは頑なに警告を続けるようになった。
まぁ、その連絡手段がアンブリッジの部屋の暖炉なのだから確かに危険だとは思うけど、双子が騒ぎを起こしてくれるというのなら別の話だ。事実、イースター休暇前の騒ぎではアンブリッジは城の至る所に走り回る羽目になったのだから。
シリウスと話すに当たって他に何かいい案はないかとAとレギュラスに聞いてみたら、Aは口をつぐんで動揺するし、レギュラスは逆に冷静すぎて何だか違和感を感じた。
この温度差は何だろう。
絶対お互い思っていることはわかっているのに、この、真逆の方向に突き進んでいると言わんばかりの反応は…
『ハリー…』
歯切れが悪そうに彼女は僕の名前を口にして、やっぱりそれ以上何かを言うことはなかった。
それは魔法薬学で、スネイプが僕をできるだけ無視する方針に変えた頃の話だ。
その後、談話室に戻ろうとしたところでロンに進路指導のことについて聞かれたところで、今からマクゴナガル先生のところに行かなければいけないことを思い出し、先生の部屋をノックする。
中央にある椅子に、先生と迎え合わせになって座れば聞こえてくる謎の鼻息にゾワっと鳥肌が立った。
後ろの角の椅子には甘ったるい香水の元凶がピンクフリルのクリップボードを持って座っている。存在を強調するように小さく何度も咳払いをしている。
…蜂蜜飴とかあげたほうがいいのかな、と思わせる頻度の咳払いだ。
「えーと…
僕、闇祓いはどうかなあと」
後ろで何もかもを書き留めんばかりにカリカリと筆ペンを鳴らすアンブリッジに気を取られまいと思いながら口にすれば、モゴモゴ言っているようになった。
本当に気が散るからできれば出て行って欲しいんだけど。
「それには最優秀の成績が必要です。
去年卒業したレイブンクロー生、キルシュナー姉弟はご存知ですか？」
コクリと頷けばマクゴナガル先生は闇祓いのパンフレットを机の引き出しから取り出しながら続ける。
「あの二人の成績は目を見張るものがありました。
姉のレナ・キルシュナーは特に薬学が、弟のアルフレッド・キルシュナーは闇に対する防衛術が得意でした。」
ここ最近は闇祓いの合格者がいなかったのですよ、との先生の言葉に僕はこれから待ち受けるであろう勉強量に目を白黒させた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
