進路２ ページ16
「確か、その前の合格者は…元グリフィンドール生のフィレアス・グラスグロー。
彼もとても優秀な生徒でした。」
今まで無視していた咳払いの音が突然大きくなり、存在を主張し始めた。
流石に苛立ってきたマクゴナガル先生はキッと後ろをひと睨みする。
「ドローレス、のど飴を差し上げましょうか」
ニタニタと笑う彼女は僕のことを見て、いっそう面白そうに表情を歪めさせた。
「いいえ結構よ、ミネルバ。
ただね、ほんの一言二言…口を挟んでもよろしいかしら？」
「どのみちそうなるのでしょうから、お好きに。」
嫌味１００％のマクゴナガル先生の言葉をきいたアンブリッジは数度咳払いをして椅子を立ち、いやらしいほどにヒールの音を室内に響き渡らせながらこちらにやってくる。まるで初めてヒールの靴を買ってもらった幼い女の子がわざと響かせているかのよう。
直線上を歩いてくるわけではなく、あくまでもくるりと遠回りに歩いてくる様子に余計に腹が立つ。
「ミスター・ポッターは性格的に闇祓いに向いているのか、疑問に思いましたの。
それにグラスグローのことならよく知っていますわ。
確か、問題の責任を背負って、もうやめていますわね？」
物知りアピールがしたいのか、僕を貶したいのかよくわからないがどうも闇祓いを目指して欲しくないらしい。
それからしてマクゴナガル先生とアンブリッジの言い合いが始まった。
ボーッとキャンキャン吠えるアンブリッジの言い分を聞いていれば、それはつまり僕が嫌いなので大臣に闇祓いに採用しないように進言しておきます、と言うことだ。
実に理不尽極まりない。と言うか闇祓いって大臣が採用するんだ、と逃避する。
闇祓い局の人が見るんじゃないんだな…言ってることが本当なのかわからないけど。
「ポッター、もう行ってよろしいです。
次の人に入るように言ってください。」
僕の相談時間はまだもう少しあるが、これではらちが開かないと思ったのだろう。実際僕もそう思うし。
言葉に甘えて教科書の詰まったリュックを肩にかけてヒステリックなアンブリッジの声を背後に、僕はドアを押し開けて次の生徒を呼び入れた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
