【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ32)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:72,557 hit

第七十六訓ページ32

『え？何だって？』

「だから、俺、監察向いてないのかなって悩んでて」

「え！向いてないなんて、そんなことないですよ」

「立花さん…」

『そうそう、あんたみたいな存在感ない地味な奴だからこそ勤まる仕事でしょ』

「…それ俺褒められてんの、貶されてんの」

山崎は長い溜め息を吐き、肩を落とした

「やっぱり、俺…」

『…それで、失敗して皆を危険に晒したから向いてないとか悩んでる訳？』

「え…」

『副長が山崎をどの隊にも入れずに監察にしたのは向いてるとかそんな理由だけじゃないでしょ』

地味で存在感がなくて

パッと見記憶に残りにくくて

華がなくて平凡で面白味もなくて

特徴がなくて地味ｄ「ソレ全部地味って言ってるだけ！！」

『まあ八割方地味が理由だったとしても「あの、そろそろ泣きそうなんだけど」

『あんたのその忍耐力と信念は何者にも劣らない。他人に流されず広い視野で周りを見て、根気強く仕事に集中できる、少しでも気になったらとことん調べ尽くし、例え失敗しようとも最後までやり切り何かしら成果をもぎ取って帰る、それが私の知っている山崎退だ』

「…柊、さん」

『まだ、何か気になってること…あるんでしょ』

「……」

力強く頷いた山崎は無言で立ち上がりAたちに背を向けると足早に部屋を出て行った

「…師匠、気になることって」

『んー？…山崎の仕事はまだ終わってないってこと』

およそ一か月程経った頃だったか
真っ黒な隈、やつれた頬、ボサボサの髪、無精髭面の男が副長室を訪れた

「花林党に裏から武器を回していた貿易商……証拠、掴みました」

「……いやお前誰」

一つの攘夷党にしては豊富な武器
その出どころに疑念を抱いた山崎が一か月かけて掴んだ証拠

その一週間後、見事取引現場を抑え、武器の密売をしていた貿易商天野屋を真選組はしょっ引くことが出来た

何も言わないが皆知っている
その一日の為に、裏で一人の男が寝る間も惜しんで動いてくれていたことを