【銀魂】Sleeping Princess (ページ24)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:122,177 hit

第二十三訓ページ24

『……ふぁぁ』

身体を起こしながら大きなあくびをひとつ
固くなった身体をほぐすようにグッと伸びをした

あれからまた寝てしまったらしい
外はもう夜のようで、明かりのついてない医務室は真っ暗だ

綺麗に畳まれたタオルと、温くなった封の切られてない歩狩汗が枕元に置かれてある

Aが寝ている間に立花が取り替えてくれたのだろう

『…寒』

汗が乾いて身体が冷えてしまったのか、少し寒気がする

これ以上悪化して風邪を併発する前に部屋に戻って着替えてしまいたい

布団から抜け出し、壁に立てかけてあった松葉杖をとる

布団のシーツやらを換えるのは明日にしよう、と考えながら医務室を出た

否、出ようとした

「おっと！」

左半身でバランスをとりながら襖を開けると、
ちょうど襖に手をかけようとした体勢の男が立っていた

「お嬢さん！身体はもう大丈夫なのか！？」

『昼間の…』

確か、近藤と言ったか

「いやァ、昼間は驚いたよ。なんでも、陽にあまり当たれない体質なんだってな。運んできた時は酷い汗で顔色も悪かったが…うん、今は大分良くなったようだな！」

近藤はうんうんと頷き、安心したような表情を見せた

聞けばAの様子を見にわざわざ医務室を訪れたらしい

『運んできたって…』

「ん？あァ、君の師匠殿がタオルや飲み物を取りに走ってくれてな、俺がここに運んだんだよ」

そうか、この人にも迷惑かけてしまったのだな…

『体調はもう大丈夫。以前道場で助けてもらった時のお礼も言いそびれてたけど、ありがとう』

Aのからの礼を聞いてキョトンとした近藤はすぐに豪快な笑い顔に変わった

「いや構わないさ、こういう時は助け合わないとな！今は真夏で日差しもきつい、俺たちも稽古中の水分補給なんかはいつもより気にしてる。お嬢さんも気を付けるんだぞ」

『そうだね、十分気を付ける。ところでそのお嬢さんってやつはやめてほしい。私には柊Aという名がある』

「これは失礼した、Aちゃんだな！そういえば俺もちゃんと自己紹介してなかったか…俺は近藤勲だ。武州の田舎の芋道場で剣術を磨いていた。よろしくな、Aちゃん」

よく笑う人だ
Aは近藤を見上げながらそう思った
裏がない、というか…安心する、というか…

会って間もないというのに、どうも気を許してしまいがちになる
これもこの男の人柄の良さが成せるものなのだろう