【銀魂】Sleeping Princess (ページ25)

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第二十四訓ページ25

「そういえば、どこかに行くところだったんだろう？右足の怪我も治ってないのに、立たせっぱなしにしてしまっていた…気が利かなくてすまなんだ」

しまった、という顔をした近藤は慌ててその場を退いた

『いや、部屋に戻るだけだったんだ、気にしないでくれ。でもそろそろ行くよ…今日はありがとう』

「おう！」

近藤とすれ違い杖をつきながら数歩進んだところで振り返る

既に近藤はAとは逆方向に歩き出していた

『そういえば…』

聞こえるように少し声を張ってみると、不思議そうに近藤は振り返った

『立花は私の師匠じゃないよ、逆だ。私が、立花の師匠』

「…へ？」

ポカンとする近藤にAはいたずらが成功したような笑みを見せ、今度こそ振り返らず自室へと廊下を歩き始めた

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ブンッブンッ

綺麗に揃った素振りの風を切る音が広場中に響く

ここ一週間程で浪士組は大きく変化していた

毎日のように続いていた抗争はなくなり
あれだけバラバラだった男たちは今やある人物を中心にまとまり始めているのだ

近藤勲

武州で道場を開いていたようで、
門下生の者たちからかなり慕われているのはここで生活するようになってすぐに分かった

他の連中が派閥争いに勤しむ中も、彼らはこの広場の隅でずっと素振り稽古をし続けていた気がする

そんな彼らが気に食わないと潰しにかかった連中は近藤の門下生…

主に近藤といつも一緒に行動している黒髪の男、土方十四郎と亜麻色髪の少年、沖田総悟の二人に返り討ちにされ、他よりずば抜けて強いこの二人を従える近藤勲を必然的に恐れた

始めはそんな理由で近藤を己の大将と置いていたようだが、大将としての器量をもち、良くも悪くも人の好い人情の塊のような彼と一緒にいるうちに純粋な尊敬の念を抱くようになったのだろう

今のようにまとまり始めたという訳だ

先日、視察に訪れていた佐々木が皆の様子に驚いていた

このまま近藤が大将として指揮をとり、隊内編成も順調に決まれば浪士組として活動が始められるそうだ

『(どうなることかと思っていたけれど、案外どうにかなりそうだな…)』

浪士組がこのまま潰れていくことは免れそうで一先ずは安心だ

右足の怪我が完治しておらず何も出来ないAは、暇つぶしがてら広場の隅で稽古の様子を眺めていた