女の子の特権 ページ37
「…それで、話はもとに戻りますけど―――」
僕はそこで一旦言葉を止めると隣をちらりと見る。そこには先程の失敗から神楽ちゃんと姉上にボコボコにされた銀さんが怪我をしながらも真剣な様子で座っていた。
「ちょっとちょっと、銀さん大丈夫ですか?」
「あ?オマエ何言ってんの?強がりなんかじゃないから、こんなんアレだから、銀さんなんとも思ってないしー?小さい頃、近所の田中くんに殴られたぐらいどぉーってことないし?」
「………。姉上、アレはどういうことですか?Aちゃんがお通ちゃんの期間限定妹アイドルって。ただでさえ彼女は狙われてるのに。」
銀さんの眉がヒクリと動いた気がした。微妙な雰囲気の中で神楽ちゃんがテーブルをバシリと叩く。
「心配ないネ。また奴らが狙ってきたとしても、Aはこの工場長兼歌舞伎町の女王・神楽が守るアル!」
神楽ちゃんのシュボーっと鼻の穴を大きくしながら、言い放った宣言に周りの空気が緩んだ。銀さんもいつものようにしまりのない顔に戻ると、僕をソファーの裏に連れていった。
(新八くん、アレ何?今度はアイツなんのドラマに感化されたの?)
(ドラマじゃありませんよ。最近地球と繋がりの深い星での金融危機で、少なからず地球の工場が影響を受けてるんです。この間、特集やっていたのでその影響じゃないですか?)
(あー…あの“リーマン・ドッグズ”が原因のアレか。しかし、まー…工場長が造るって言っても、このご時世みーんなカラクリがやってんだろーよ。)
(それがですね、その特集はドキュメンタリーのようで…“カラクリを使わずに人間の手で工場を支えていく”を方針にしている工場長さんの話だったんです。)
「二人ともコソコソ何してるんですか?」
姉上の声に僕らはいそいそとソファーに戻った。
「わかりました。あの後の事を全部お話しします。」
―――…
『…ンむーー…』
「Aちゃん、もう少し我慢してね。」
そう言いながらお妙は十着のさまざまな着物をAに当てていた。中年の男の店員も汗をかきながら隣でアドバイスを言い続けている。
「あ、こら!」
もはや着せ替え人形に飽きてしまったAは、お妙の隙をついて逃げ出し、自分の背より大きな着物の間を通りながら出口へとむかう。あの自動ドアを抜ければ、解放されるような気がしたからだ。
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