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視線の先は、坂田銀時。
銀時は白夜の腕に抱かれているAのただならぬ様子に眉を潜めながらも、腰にさしてある木刀に手を添えた。
「生憎、そいつをてめェーに渡すわけにはいかねェ。面倒だが、そいつとパフェパーチーする約束があんだからよ。」
銀時の言葉に、白夜は「それは楽しそうなパーティーですね?」と笑う。
白夜が自分の刀を持つ手に力をこめた瞬間、銀時が木刀を抜いて一気に詰め寄るとそのまま白夜の刀を弾き落とした。
カランカランという無機質な音が倉庫中に響く。
刀を失ったことに白夜は舌打ちをするが、仕方ないとばかりにAの着物の袖をめくって、彼女の顕になった腕に自らの手をかざした。
「オイ」
白夜の行動に木刀で制止しようとした銀時だが、だんだんと穏やかになっていくAの表情にそれ以上は下手に動けなくなる。
シャラン…カラン
「………鈴が…」
前に銀時が外そうとしても外れなかった鈴が、白夜の手の中には彼女についていた全ての鈴が転がっていた。その様子に銀時は瞳を丸くする。完全にAの呼吸は正常に戻り、白夜の腕の中で眠っていた。
「………てめェーは何もんだ?」
銀時の言葉には答えずに、白夜はAを抱き抱えたまま彼を警戒する銀時へと歩を進める。周りはしーんと静まっていた。すれ違い様に銀時は白夜にAを手渡され、さらに目を見開く。思いもよらなかった行動に呆気にとらわれていた。銀時が何かを言う前に、そのまま白夜が過ぎ去る。艶のある黒髪が揺れると同時に金木犀の香りが銀時の鼻腔をくすぐった。
「ーーー造りものの自身の娘に、情でも移りましたか?」
刹那、ふと立ち止まった白夜から呟かれた言葉に銀時は呼吸するのを忘れた。驚きで彼を見返すが、手元のAの僅かな身じろぎに慌てて彼女を見遣る。完全に体調が安定したのか、スースーと気持ち良さそうな寝息を立てていた。
「せいぜい今度は失わないようにすることですね。」
我にかえった銀時が振り返った時、すでに白夜の姿は消え去っていた。
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早桃 - めっっっちゃ好きです、、、。これは神作品に出会ってしまったぞ!続きが気になりすぎますゥ゛ゥ゛ゥ゛! (2022年4月5日 23時) (レス) @page31 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - ナツメさん» よろしくです!! (2020年6月11日 7時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - printemps(プランタン)さん» プランタン様、コメントありがとうございます!更新を喜んでいただいて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!! (2020年6月11日 2時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - わーい!更新されてら (2020年6月9日 9時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 常夏さん» 常夏様、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。コメント、ありがとうございます!!今回漸く更新しました。スローで申し訳ありませんが、頑張って今後も更新できればと思います^_^ (2020年6月9日 4時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
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