待ち望んだ救出 ページ22
―――――――…
『……ハァ…ハァ…グス…』
Aちゃんの苦しげな呼吸と愚図る声が聞こえる。酷く辛そうで、思わず握り拳をつくった。いくら事情を知っていると思われる奴でも、得体の知れない男だ。そんな彼にAちゃんを渡すわけにはいかなかった。そのため僕にはこの場をどうにかやり過ごして彼女を病院に連れて行く以外にどうすることもできない。
ジリジリと青年が近づいてきた。
「…ごめんね、Aちゃん。辛いだろうけどもう少し頑張って!」
僕は彼女を抱き抱えると、四方に目を向けて逃げ道を確認した。僕のとりえる道は倉庫の入り口一つと裏口…。入り口は奴が塞いでいる。そうすると道は一つ。僕はすぐに後ろへと向き直り、裏口へと急いだ。監察という職務は伊達じゃなく、逃げ足には結構自信がある。
「…逃げても無駄です。」
シュと風を切った音と共に、目の前には静かに佇む青年いた。嘘だ、と思った。少なくとも俺と彼の距離は十メートルくらい余裕であったハズ。目の前の得体の知れない青年の笑みに背中がゾクリとさわだった。
「子猫はもらいます。さようなら山崎さん。」
その言葉と同時に俺の意識は途絶えた。
―――――――…
青年、白夜は山崎が意識を失ったのを目にすると自分の腕の中にいるAを見つめた。柔らかい茶色の髪の毛は、苦しみから出る汗で顔に張り付き、必死に呼吸する様子はあまりにも痛々しい。白夜はその様子に眉を寄せるとそのまま踵をかえした。
「―――おいおい、通り魔の次は幼児誘拐か?」
背後から伝わってくる殺気と言葉に白夜は歩みを止める。
「……今回は来ないと思っていたのですが―――」
随分頑丈な体をしていますね、と皮肉気に笑いながら白夜は振り返った。
106人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
早桃 - めっっっちゃ好きです、、、。これは神作品に出会ってしまったぞ!続きが気になりすぎますゥ゛ゥ゛ゥ゛! (2022年4月5日 23時) (レス) @page31 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - ナツメさん» よろしくです!! (2020年6月11日 7時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - printemps(プランタン)さん» プランタン様、コメントありがとうございます!更新を喜んでいただいて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!! (2020年6月11日 2時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - わーい!更新されてら (2020年6月9日 9時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 常夏さん» 常夏様、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。コメント、ありがとうございます!!今回漸く更新しました。スローで申し訳ありませんが、頑張って今後も更新できればと思います^_^ (2020年6月9日 4時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ