【ヒロアカ】To my dearest. Ⅳ (ページ12)

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『もしもし、』

《A、どういうことです》

『………そのままの意味です、』

《意味を聞いているわけではありません、いいですか、お前は、竹刀を置くという意味を、理解しているのですか》

『先生、もう駄目なんです、竹刀が握れない。火傷の痕が、引っ張られて痛い訳じゃ、ない。握力が落ちたわけでもない、けれど、だけど、先生。どうしよう、私もう竹刀が握れないんです、握るのが、怖い。』

《A》

『今まであんなに頑張って、頑張って頑張って、たくさん練習したのに、駄目でした、全然。守れなかった、意味が、なかった。結局私が今生きているのは、この個性があるから、だから………先生、私、諦めたい訳じゃない、でも、もう、』

《気をしっかり持ちなさい、それから………竹刀は、もうお前を守らないでしょう、だから、お前が振るうことのできる剣を探しなさい。何でもいい、お前が最後に振るった、その棒きれでいい。毎日磨きなさい、握りなさい、振るいなさい。》

『先生…』

《A、剣道がお前からなくなったくらいで、お前は死にません。死なない、死なないのだから………あまり、思い詰めすぎないように。次の大会の不参加、引退のことは会長に伝えておきます。お前は淼さんにその旨を伝えること、いいですね》

『……はい』

《ではもう切ります…………お前は少し頑張りすぎですね、A、おやすみなさい。》

『はい先生、おやすみなさい。』

つ、と音を立てて電話が切れる。なんか、久しぶりに先生の声聞いて、安心したな、て、考えてたら涙出てきた。ちょっとビックリしてしまう。

いつもみたいに、なんで思い出せないのかな、とかじゃなくて、私は今、怒っている。何も成せない自分に、何も思い出せない自分に、現状に、憤りを感じている。

ふざけんな森羅万象、私に当たるのも大概にしろ。バーカバーカ。私ばっかり不幸にしやがって！(分からんが)
意地でも思い出してやる、あれから事あるごとに爆豪がこっちみて舌打ちするのが一番気に食わない。

『(淼さんへ、ごめんなさい、剣道引退します、今までありがとう、あなたがいたから続けられた……………勢いで送っちゃえ)』

皆がワイワイしてるのを背に、私はいそいそと部屋へ戻った。明日の事は明日考えよう。文化祭はきっと楽しいはずだ。いい損ねたけど、私はあの「ブワッ！！」て吹き出す炎の役やりたい。炎出し要員。