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黒蜥蜴 ページ28

或る路地裏

一人の片眼鏡をかけた初老の男性が煙草に火をつけようとしていた

「時間です」

そう云われた男性は黒服を纏った男たちが群がる扉へと向かって行った

「退いてろ」

男は扉に手を当てた

次の瞬間 扉は部屋の奥まで飛ばされ作業着を着た複数の男たちが驚いた表情をした

「諸君 仕事中 誠に失礼」

「なッ…… 何だァ あんたら!?」

騒つく男たち

「我々も仕事だ 何 すぐ済む 実は最近 我々ポートマフィアの荷を横流しする不埒な連中がいて ここがその拠点という噂を聞いてね」

「……!」

「証拠を探してる 中を検めさせて貰ってもー」

そう云いながら歩く男性

すると鉄パイプを持った一人の男が男性の背後から襲いかかろうとした

が 男性は鉄パイプを片手で受け止め弾き返した

「ぐわっ」

「ふむ 証拠が見つかったな」

「て 鉄パイプが……」

鉄パイプは変形をしていた

男性が襲いかかってきた男の方に手を置いた

「異能を見るのは初めてかね?」

骨の砕ける音 そして男の絶叫が部屋に響き渡った

男性は煙草を吸い 一言云った

「全員殺せ」

ー矢張り仕事終わりの一服は格別だなー

ドオオオ

街に爆発音が響いた

「(爆発……? まさか!)」

敦は街に出て破壊された建物を見た

「皆殺しだッてよ」 「非道い……」

野次馬の声が飛び交う

「軍警が言うにはマフィアの武闘派 その中でも凶暴な実働部隊『黒蜥蜴』って奴らの仕業だって」

「特殊部隊なみに戦闘術を持ち しかも恐ろしく残酷だとか」

「マフィアの武闘派 『黒蜥蜴』……」

もしそんな奴らが事務所になだれ込んだら……

敦は公衆電話へと向かった

プルルルル プルルルル カチャ

「何方ですか?」

電話の相手は樋口だった

「僕だ」

「人虎!?」

「(そうか 探偵社で渡した名刺を見て……)」

「先日はお仲間に助けられたようですが 次はそうはいきません それで ご用件は」

「僕は探偵社を辞める」

「な……!?」

「辞めてひとりで逃げる 捕まえてみろ」

「成る程ー 『だから探偵社には手を出すな』と?」

敦は通話を切った

「『黒蜥蜴』を呼べ」

敦は荷物を纏め非常階段を降りた そこに

「こんな所に居ったか 小僧 お前の所為で大わらわだ」

「敦君 何処かへ行くの?」

「手を貸せ こいつをー」

敦は国木田とAの横を通り抜ける

「おい?」

「……心配いりません これでもう探偵社は安全です」

「……はぁ?」

敦は駆け出してしまった

「…国木田さんの所為ですからね」

銃声→←運命論者の悲み



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作者名:aurora | 作成日時:2019年3月10日 22時

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