【文スト】salvation of a saint Ⅱ (ページ22)

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太宰の戦いページ22

ある駅

「こんな僻地で再び君と見えるとは……余程私と雌雄を決したいらしい」

太宰が話しかけていたのは一匹の犬であった犬が太宰に吠える

「おっと！威勢がいいねだが無駄だよこちらには切り札がある」

そう云い太宰は餌を取り出した

犬と戯れる太宰を見る敦

「欲しいかい？欲しいよねぇ」

太宰は餌を見せつけ消してみせた驚く犬

「これが格の違いだよ私の勝ちだ」

敦はそんな上司の姿を軽く引いた目で見ていた

「これに懲りたら街中で私に吠えるのは慎む事だ」

餌を食べ乍ら敦の元へ戻る太宰

「犬……苦手なんですか？」

「人間より余程難敵だよそれで事務員さん達の避難は？」

「国木田さんからの連絡で予定通り次の列車だそうです事務員さんが狙われるなんて…… この三社戦争探偵社は大丈夫でしょうか」

「そうだねえ私の見立てでは探偵社が最も劣勢最優勢はマフィアかな」

「そんな……太宰さん何か逆転の計略は無いのですか？」

「あるよこのくらい」

太宰は三本指を立てる

「三つも？」

「いや？三百だけど」

「三百！？」

「けどね敦君戦況は生き物だ必勝の秘策が僅かな状況変化ひとつで愚策に豹変するだから情報が大事なのだよ特に今回は相手が相手だ森さんは合理性の権化でね数式の如き冷徹さで戦況を支配する刺客から逃れて気が緩む今を狙って必ず何か仕掛けてくるよ」

貨物列車

「これで当面は安全ですわ」

ほっと息を漏らすA

「ありがとうAさん」

春野がAに話しかける

「きゃ」

春野が誰かにぶつかった

「ご免なさい」

三人が振り向くそこには

「…… "ご免なさい"？」

黒い帽子を被り不気味な人形を持った鏡花と同年齢くらいの子供が立っていた

「こちらこそご免なさいお怪我は？」

「情報と云えば国木田さんから…」

チラと太宰を見る敦

「その Aちゃんも一緒だそうです」

敦は同僚に心から謝罪をした

「ふふ会ったらたっぷりお仕置きだね」

一方列車内では

「Aさん顔色が悪いですわ」

「なんか凄く寒気がする…」

と身体を震わせていた

「……む」

「どうしました太宰さん？」

太宰が急に立ち上がる

「これ……食べ過ぎた所為か急に差し込みが……」

「え？」

敦は困惑した

「敦君私と私の胃腸はここが限界だ探偵社は頼んだよ」

太宰はそう云い駆けて行った

「云っておくけどあの人は凄い人なんだぞ」

敦は犬に語りかけた