152話だ ページ6
「ヒバリ……大丈夫か？」
12月の半ば。ヒバリが熱を出したと草壁さんから聞いた私は並盛中央病院の108号室にやってきた。
ノックもせずに入ってきたのでヒバリ怒るだろうなぁなんて考える私。けれどヒバリは焦点が合わないのかこちらを怪訝そうに見つめている。
でも私の声で誰なのかわかったのか「朔？」と少し掠れたで名を呼んだ。……その掠れ声、色気あるなおい。
「なんでここにいんの……」
「草壁さんから聞いてお前が熱で倒れたって聞いてな。見舞いだ」
「……頼んでない」
……といっても急いでたから見舞いの品は買ってこれなかったが……
「まあそーゆーな。せっかく来たんだから話し相手ぐらいにはなる」
「寝るからいらない」
「……お前、素っ気ないなぁ。モテねーぞ」
「別にモテなくていい。……君さえいれば」
……お？
「お前、なんかヤケに素直だな……」
さっきまで素っ気なかったのに……寂しかったのか？
それとも熱で頭がおかしくなったのか……
まあどちらでもいいか。
こん時のヒバリはレアだからな。
私はそっとヒバリの目元に触れた。
これでも外は寒かったから手が冷えてんだ。熱冷ましにちょうどいい。
「いいよ……今日一日はお前のそばにいてあげる」
「……そーゆー意味で言ったんじゃない……」
「ん？ならどーゆー意味で言ったんだ？」
するとヒバリは右手を私の手に添えた。
うわーこいつ体温高ぇな。……38度ぐらいか？
「…………君の手は冷たいね」
あ、こいつ、話逸らしやがった。
「……まあ外は寒かったからな」
「そう」
「ヒバリ」
「何」
「後で零も見舞いにくるみたいだから喧嘩はすんなよ」
「あいつが喧嘩をふっかけてこなければね」
「いやお前、今は風邪で弱ってんだから健康体の零に勝てるわ……」
「弱ってない」
「こら遮んな。つか即答かよ」
「弱ってない」
「…………二度言わんでいい」
どんだけ認めたくねーんだ、自分が弱っていること。
じゃなきゃお前、今の行動はなんだ。
自分の意志でやったといい……た、え……っ！！
い、いやいやそんなはずはない。
だってヒバリだから。うん。ヒバリなんだから。
多分これは気まぐれ。そう！！気まぐれだ！！
ヒバリは猫気質だからな。うん。そうだ、そうに違いない。
だから勘違いはしないぞ、私。
ってん？自分なんの勘違いをするってんだ？
んん？やべ…わかんなくなってきた……
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作者名：ゆっくりノワール×夜野兎 x他1人 | 作成日時：2017年12月3日 16時
