162話だ ページ16
あ、や……そのっ……こ、こいつ今私に何をした?
キス……したよな。
しかもファーストキスからのディープキス。
ショート寸前の頭で考えつつ小さく頷いた。
ヒバリは好きでもない奴にキスをするような男じゃない。
……となると、だ。
私とヒバリは両想いってことになる。
「……あ、あのヒバリ…」
「何」
「好きって……言ってくれ」
けどやはり言葉が欲しい。
天邪鬼な君から私への告白の言葉が。
するとヒバリは小さく息を吐いた。あ、こいつ、今めんどくさいって思ったよな。ぜってー思った。
でも私、諦めない。
あ、そーいえば私……ずっとヒバリのこと名字呼びしてたけど……私だけ名字呼びじゃ不公平だよな。ヒバリは名前呼びなのに。
よし。
「……恭弥」
名を呼べばピクリと反応するヒバ……じゃない恭弥。
お?これは……??
「恭弥、……言ってください」
「っ、なんで君はこう煽るようなことを言うのかな」
もう一度名を呼べば恭弥は息を飲んだ後、そう言った。
いやいや煽ってねーし。
「……好きだよ」
「へ?」
「君が好きと言えって言ったんだろ。何そのアホ面」
あ、アホ!??
「失敬な!!不意打ちくらって驚いてただけだ」
「ふぅん」
ギュッと一度強く抱きしめた後、私の頭に頬擦りをする恭弥。
……熱で(頭が)わいたか、こいつ。
なんて思う反面、嬉しくてニヤける。
あーホント……私って単純だなぁ。ガチで。
恭弥の言葉一つで有頂天になってる。
って今はそれどころじゃないよな。うん。
「恭弥、お前熱あんだろ?とりあえず寝とけ」
ヒバリの胸板を押して少し距離を取ろうとする。
私がそばにいたらゆっくりと寝れねーだろ。きっと。
……そーいや風邪は人に移すと早く治る……なーんて俗説をよく聞くが……こいつ、さっき私にキスしてたよな。しかも滅茶苦茶深い奴。
え、まさかこいつ、私に風邪を移そうとしてた?
いやいやあいつがそんなくだらん理由でキスするわけねーよな………多分!!
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作者名:ゆっくりノワール×夜野兎 x他1人 | 作成日時:2017年12月3日 16時